開発グループ
開発グループでは、研究所内の実験施設及び野外での動物評価を繰り返しながら、当社製品の性能・機能の向上、コストダウン等に繋がる、製品や技術の開発に取り組んでいます。その対象は、育種や市場の要求に対応した最適な栄養設計、飼料加工技術、国内外の新規原料の評価、差別化畜産物の開発などに及びます。開発グループは、豚チーム、鶏チーム、牛チームに分かれており、下記ではそれぞれのチームをご紹介します。
豚チームのご紹介
開発グループ豚チームでは、豚用飼料の配合飼料に関する研究、開発を行っています。研究所内の飼育施設で実際に豚を飼育し、日々豚に接しながら、安全・安心で、より高性能な配合飼料の開発を目指して業務に当たっています。では、私たち豚チームの業務内容をご紹介します。
豚用配合飼料について
豚は、体重1.5kg前後で生まれ、約半年かけて110〜120kgにまで成長したのち、お肉になるために出荷されます。豚用配合飼料は、そのような豚の発育段階に応じて、栄養成分や加工形態の異なるものが種々存在します。その中でも、子豚が生まれて初めて食べる配合飼料である「人工乳」は、配合飼料メーカーが技術の粋を結集した製品です。特に離乳前後の子豚に給与する「人工乳前期飼料」は、我々が最も開発に注力している製品ですので、その開発業務の一部についてご紹介いたします。
人工乳前期飼料とは
豚は、生後3〜4週間の哺乳期間を経て、体重が6〜7kg程度なった段階で母豚から離されて離乳となります。哺乳期間中に母乳を補助し、離乳後に配合飼料への切替をスムーズにする役割を持つ「人工乳餌付飼料」が給与されますが、離乳後に子豚が本格的に摂取する最初の配合飼料が「人工乳前期飼料」です。この「人工乳前期飼料」による発育の良し悪しが、その後の豚の発育スピードや健康性に非常に大きな影響を与えます。
ストレスだらけの離乳子豚
子豚にとって、離乳は生涯で最もストレスのかかる出来事です。母豚や兄弟たちと離ればなれになり、飼育場所も移され、別の母豚から生まれた子豚と混ぜられ、更にエサも母乳から配合飼料へと大きく変わります。子豚の中には、このような周辺環境の激変により体調を崩して下痢をしたり、飼料が十分摂取できずに発育が遅れたりするものも出てきます。
人工乳前期飼料の開発
離乳直後という、子豚にとって最も過酷な時期に給与するのが「人工乳前期飼料」です。そのため、人工乳前期飼料の開発では、子豚の消化生理に適した配合割合の検討や、子豚が成長に必要な栄養素の充足といった栄養的な機能面の検討のみならず、子豚がより食付きやすい形状、子豚が美味しいと感じてどんどん食べ進められる嗜好性等、様々な課題について検討を重ねていく必要があります。そして、これらの技術的課題を検討していくためには、離乳直後の子豚を用いて数多くの飼育試験を行って子豚の発育状況を確認しなければなりません。そのため、我々豚チームでは、総合研究所内の飼育実験棟にて妊娠母豚を飼育し、それらから生まれてくる子豚たちを用いて試験を行っています。哺乳期間から離乳数週間に至る子豚の発育試験や消化率測定試験、あるいは二点比較法嗜好性試験などを実施して、より高性能で子豚が良く食べる人工乳前期飼料を開発すべく、注力しています。
また、研究所内試験プラントの試験製造設備を使用して、子豚がより食付きやすい加工形状や物性の検討も行っています。更に、研究所で得られた物性的知見を実製造に落し込むべく、実際の製造工場に出向いて試作検討を行うこともあります。
研究所外での活動
研究所にて様々な試験を実施して知見を積み上げていくことに加え、より実際に近い条件にて性能の検証を行うため、実際の生産農場で大規模に給与試験を実施するケースもあります。研究所内、野外の両方で得られた結果を総合的に勘案し、最終製品の形を組み上げていきます。このように、我々開発グループ豚チーム員は、研究所内のみならず、実際の養豚生産現場や工場にも活動の場を広げて、お客様にご満足いただける高性能かつ安価な製品をよりスピーディーに開発するため、日々精力的に業務にあたっています。
牛チームのご紹介
開発グループ牛チームでは代用乳、スターター(人工乳)、育成用飼料といった子牛用の配合飼料を中心に開発に取り組んでいます。研究所内には子牛を飼養する施設と試作品を製造するプラントがあり、試作品を実際に子牛に給与して、嗜好性、発育性、健康性等を評価しています。目標とした製品性能を得るためには栄養設計だけでなく、飼養管理も重要で、毎日の給餌、環境コントロール(換気、温度管理等)には細心の注意を払います。これらの日々の積み重ねによって晴れて新製品が誕生します。また、消費者の目線に立ち、特色ある畜産物を生産するための飼料開発にも取り組んでいます。これは当社だけでなく、生産者、畜産物の流通に関わる業者が三位一体となった取り組みで、安全、安心で美味しい牛肉を食卓にお届けできるよう励んでいます。
鶏チームのご紹介
開発グループ鶏チームでは、レイヤー(採卵鶏)用飼料及びブロイラー(肉用鶏)用飼料の配合飼料や畜産物に関する研究、開発を行っています。研究所内施設では、レイヤーやブロイラーを飼養して、動物試験を繰り返し行っています。また、千葉県にあるブロイラー試験農場では実際のブロイラー生産を行いながら、農場レベルでの給与試験を実施しています。レイヤーの試験では、複数の試験飼料を研究所内の飼料製造プラントで製造して、或いは、工場や外部より購入して、それらの飼料を毎日給与して、飼料を食べた量や産まれた卵の数や重量を測定して、試験飼料がレイヤーの生産性に与える影響を調査します。試験の目的に応じて、飼料が実際の生産物に与える影響を確認するため、卵殻や卵黄の色などについても調査します。飼料の消化性や実際の排泄物の量への影響も検討するため、排泄された鶏の糞を集めて、重量を測定したり、成分を分析したりします。
ブロイラーの試験では、外部の孵化場より初生雛(生まれたばかりの雛)を購入して、試験に用います。購入した雛は、初生雛から試験をする場合もあれば、試験を行いたい日齢まで予備飼育(同じ飼料で飼育)を行う場合があります。試験開始時には、比較する試験群が同じ体重になるように群編成を行い、目的に応じた試験飼料を給与して、試験を行います。ブロイラーの試験でも、飼料を食べた量や体重、糞の量や状態、成分を測定します。また、解剖を行って、肉を採取したり、消化管の発達の状況や内容物の状況を調査します。