養鶏管理ソフトでわかること(気づきのきっかけ)
前報,前々報(2017年,2018年02月)では、MNFIS養豚版(ベンチマーキング)でわかることについて発信させて頂きました。今回は、養鶏版について発信させて頂きます。
畜種を問わず、実際の農場の状態を観察,判断することが成績管理をする上で重要ですが、まず変化に気づくことが大事です。日々の管理・観察で気づくことは多くありますが、野帳だけではなかなか気づきません。また、大きな変化には気づきやすいですが、少しずつ変わる変化にはなかなか気づきづらいものですし、成績に影響する要因も多くあり、1日ではなく期間として見る必要があります。MNFISでは帳票とグラフで成績出力しています。下記に農場(LOT)の成績推移をグラフで示しました。どのような要因があるか考えてみましょう。
①農場成績グラフ(基礎)
グラフはマニュアル指標と実績を示しています。全体的に成績は奮いませんが、グラフから判断すると、産卵初期の立ち上げ遅れと43~55週令(夏場)の成績が低下していることがわかります。
②農場成績グラフ(基礎+温度+日卵量)
グラフに外気温,舎内温度(最高・最低)を追加しました。
一般に採卵鶏の快適温度帯(産卵に適する)は、12.8~23.9℃と言われています。これを鑑みると産卵立ち上げ時は舎内最低温度が低めであり、42週令頃~57週令の間、舎内高温が高いまま推移していることが見られます確認できます。
③農場成績グラフ(基礎+温度+日卵量+飲水量+食下量)
グラフに食下量,飲水量を追加しました。
食下量について、一概には言えませんが、立上げ時の不足,と43~54週令での落込みが見られます。飲水量についても夏場で若干の増減はありますが、産卵初期より少なく推移しています
本LOTについては鶏舎管理(特に温度管理)の対応不足が成績低下の一因として推測されます。また、夏場に向かうに従い、産卵率・残存率低下が助長されることからも夏場の管理対応のチェック,、見直し不足の可能性もあります。
グラフから全てを判断することは出来ませんので、事例として挙げた状況と同様なLOTでも、環境,導入雛の問題,機械トラブル,疾病,鶏舎構造 等の現場要因も加味しないといけません。
本稿では成績把握のため、MNFISでのグラフを活用致しました。Excelなどの表計算ソフトを活用しても可能と思いますが、同一ソフト,システムを介することで皆様と当社の間で共通視点を持つことが出来ます。共通視点を持つことで気づきについても共有出来ると考えます。
我々はMNFISを活用し、皆様と視点を共有し、様々な情報をお届けしようと考えておりますので、今後共よろしくお願いいたします。
技術サポート部 新田 良平