技術情報Technical Info

寒冷期の子牛のエネルギー損耗にご注意!


子牛の適温域は13~25℃とされ、成牛に比べ寒さに弱い特徴があります。その違いはどこにあるのでしょうか?子牛は成牛と比較して、①皮下体脂肪が少ない、②体重に対して表面積が大きい(熱放散が多い)、③ルーメン発達が未熟(体内から熱産生が少ない)、ことから熱を奪われやすく、寒さに弱いのです。このため、寒冷期子牛の管理においては、エネルギーの補給とエネルギーの損耗を防ぐことが重要です。

体温維持のためにエネルギーを消費する温度の限界を臨界温度といい、その下限を下限臨界温度と言います。環境温度が下限臨界温度よりも下がるほどその消費量は多くなり、3週齢以上の子牛の場合(図1)、10℃を境に環境温度が10℃下がるごとにエネルギー要求量は27%増加します。この要求量の増加は当社代用乳(CP24%、Fat25%)で換算すると粉体として約100gに相当し、冬場は通常よりも代用乳を増給することをお勧めします。但し、過度な代用乳の増給はスターター(固形飼料)の摂取量を抑制することにも繋がります。また、エネルギー要求量は環境温度の他、飼養環境、体重、などの様々な要因によって変化します。当社では、実際にはそれぞれのお客様の飼養管理状況や要望を踏まえ、給餌内容の提案を行っています。

子牛.jpg

次にエネルギーの損耗を防ぐための主なチェックポイントと対策を挙げました。
□敷料は乾いていますか?
牛体が濡れていると気化熱で体温を下げてしまいます。敷料を厚めに敷く、こまめに交換する
など、牛体が濡れない管理を心掛けたいものです。
□隙間風や北風が直接当たっていませんか?
体感温度は風速1m/秒ごとに1℃低下すると言われ、風が牛体に直接当たると、熱を奪われてしまいます。ベニヤ板や段ボールプラスチック、等で隙間風を防ぐほか、ハッチの開口部は北風を避けて南向きに設置するなどの配慮が必要です。但し、定期的に窓を開閉するなど、換気も確保しましょう。
□暖をとることができますか?
ヒーターの設置やカーフジャケットの着用など、保温環境を整えることも重要です。
また、冬場は飲水をお湯に替えることで、内部からの体温低下を防ぐと共に、飲水量減少によるスターター摂取量減少の改善も期待できます。

冬は子牛も人も体調を崩しやすい季節です。十分な食事と快適な居住空間で厳しい冬を乗り切りましょう。

開発グループ 金森 雅恵

一覧へ