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秋の夜長は豚の寝方に注意!!


今年の夏は、地震や豪雨に相次ぐ台風上陸と、自然災害が立て続けに起き、被災された方も多くいらっしゃったかと思います。この場を借りまして、お見舞い申し上げます。

7月以降は記録的な「災害レベル」の猛暑となり、私の住んでおります中部地区でも連日40℃前後の猛暑が続きました。生産現場からは畜種問わず、熱死や生産低下等が多く聞かれました。そのような夏も終わり、だんだん秋に近づいてくるかと思いきや、9月9日の岐阜県での国内26年ぶりの豚コレラ発生。各種情報収集や工場の防疫レベル強化等、豚コレラ対応に奮闘した1週間でした。これ以上被害が広がらないことを祈りつつ、皆様におかれましては、再度防疫強化や農場の衛生レベルの見直しをお願い致します。

弊社でも、工場及び営業の防疫レベルを強化(消毒液濃度の見直し、人員配置による消毒強化や場内専用長靴への履き替え、運転席消毒、営業の行動経路記録など)し対応しておりますので、ご理解とご協力の程、宜しくお願い致します。

さて、前置きが長くなりましたが、今回の技術サポートトピックスは「秋口対策」を取り上げたいと思います。
9月は「長月」ともいい、夜が長く過ごしやすい季節になりますが、一方では環境コントロールが難しい季節です。各地の気温変動をみても、9月から10月にかけ最低気温が20℃を下回り、特に無人となる夜間の管理に苦慮さえているかと思います。

【各地の月別平均気温】
図1.pngのサムネイル画像


そこで、実際に農場でみられる事例を元に、秋口の管理方法を考えてみたいと思います。
1. 分娩舎でのポイント
さて、問題です!!どちらの管理が「いい管理」でしょうか?
答えは下の写真です。
図2.jpgのサムネイル画像
母豚の横で子豚が気持ちよさそうに寝ていますが、改善が必要です。
保温箱はコルツヒーターが点いていますが、多くの子豚は保温箱外に。
これでは腹冷えによる下痢や母豚による圧死による事故が増えます。
保温箱内が暑い、もしくは下痢等で汚れている、保温箱の入口が狭く入りづらい等の要因があります。

図3.pngのサムネイル画像
保温箱内で子豚が休息し、保温箱外に子豚がみられません。
保温箱は、保温するだけでなく、冷気から守ったり、子豚が逃げる場所にもなります。

2. 離乳舎でのポイント
ではこちらはいかがでしょうか?
図4.png
要改善例
豚が豚房の端に重なり休息。
隙間風がないか、豚舎内温度が低くないか、給餌や給水は問題ないか等を確認ください。

図5.jpg
良い例
豚が横並びに、重ならず休息。
豚の毛ツヤもよく、豚体の汚れもなく
また腹の張りが良好。

3. どうして汚れているの??
図6.jpg


隣り合う豚房で、日齢も給与飼料も変わりません。ではどこが原因なの??
答えは、豚房内の風の流れです。
左豚房の上に順送用メーターファンがあり、左の豚房内には風が流れず、右の豚房内には風が流れています。
換気状況や風速、風向の違いにより、また豚の体感温度の違いにより、これだけ豚房環境が異なります。

4. 最後に
あくまでも現場でみられる管理の一例をあげました。豚舎内には依然として、管理上の落とし穴が多くあります。今年の冬はどうなるのでしょうか??寒くなる前に、一度設備の点検や管理方法の見直しを実施頂ければと思います。

技術サポート部 養豚グループ 日髙 佑太郎

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