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冬場の分娩舎の温度管理について


気温が下がってくると、豚も人と同じように、体調を崩さないよう防寒対策が必要になってきます。今回は、飼養至適温度域が異なる母豚と新生豚の、冬場の管理について書こうと思います。

生後間もない新生豚では、体温調節機能が未発達であるため、豚房内に保温箱を設置するなどして、暖を取れる場所を作ってあげなくてはなりません。新生豚の発育適温は37℃、成長に合わせて温度を徐々に下げていきますが、まずは保温箱の中が37℃くらいになるよう、コルツヒーターなどで調整してください。
豚房下から冷気が上がってくる場合に備え、ゴムマットなどを敷いて腹冷えを予防することも大切です。体調を崩すと、体を回復させることにエネルギーが使われてしまい、体を成長させるためのエネルギーが減ってしまうため、結果として発育遅延になりかねません。

また、寝姿も温度調整の重要なバロメーターとなります。子豚は寒いと体を寄せ合って暖まる習性があります。寒いか暑いかは豚に聞け、と言われますが、まさにその通りなのです。保温箱の中での固まり具合を観察すると、豚にとってちょうど良い温度に管理されているときは、ヒーターなどの真下で重なることなくきれいに寄り添っています。
寒い時には重なり、こんもりと山のようになっています。このような場合は、熱源を増やすなどしてより暖かい環境を提供してあげましょう。また、重なっていると体の小さい個体が窒息する危険性もあるので、注意して観察するようにしてください。
反対に、熱源を避けてバラバラに寝ている時は、暑がっている証拠ですので、ヒーターのスイッチを弱にしたり、換気を少し強めたりして、子豚にとって快適な温度になるよう調整することが求められます。

ただし、部屋全体の温度は母豚に合わせてあげてください。新生豚は37℃前後の環境が必要ですが、母豚の発育適温は約18℃。母豚は室温が20℃を超えると暑いと感じ出し、25℃を超えると飼料摂取量が極端に悪化します。
飼料摂取量が低下すると、乳の出が悪くなって子豚の発育に悪影響となってしまいます。部屋の温度を低く保つことにより、食事をするために保温箱から出てきた子豚は、満腹になるとまた暖かい場所へと戻っていきます。
こうすることで、母豚に間違って踏み潰される危険性も減らせるのです。

あなたのところの子豚は、どんな寝姿をしていますか?

総合研究所 検査グループ 病理チーム 手賀有希

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