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離乳子豚の下痢の原因と対策


豚を飼養する上で最も注意が必要な時期が、母豚から離乳させる時期です。
子豚は通常3-4週齢で母豚から離乳させますが、
離乳したばかりの子豚は多くのストレスにさらされるため、
様々なトラブルが多発する時期です。

特に温度変化が激しい晩秋や初冬の今頃は人間と同じく子豚にとっても
体調を崩しやすい時期と言えます。そのような離乳期に最も多いトラブルが
「下痢」です。今回は、離乳子豚の下痢対策について、
改めて述べてみたいと思います。

一言で下痢と言っても原因、程度は様々です。
下痢の直接的な原因となるとしては大腸菌(浮腫病)、
コクシジウム、ロタウイルス等が挙げられますが、
これらの病原体が存在するだけで必ずしも重篤な下痢症状が
発生するわけではなく、下痢が深刻化する背景には様々な
ストレス要因による子豚の腸内環境の悪化が
存在しているものと思われます。
これらの腸内環境悪化をもたらすストレスを極力軽減させることが、
離乳子豚の管理において重要となります。

離乳時のストレスとして、母豚や兄弟から離されたうえで
再編成されることによる社会的ストレスや移動による
ストレスも大きいですが、子豚の腸内環境に与える影響としては、
母乳メインの栄養摂取から人工乳摂取へ切り替わることによる
栄養摂取状況の激変、環境温度の変化による腹冷えによって
引き起こされる消化不良などが最も悪影響を
与えているものと考えられます。

栄養摂取状況の変化に対応するため、母乳から人工乳への切替が
スムーズに進むよう、離乳前の餌付け飼料の給与は重要と言えます。
餌付け飼料は最低でも1週間は与えるようにし、
子豚の腸内環境を人工乳に慣らしておくようにしてください。

また、3-4週齢の子豚は体温調節機能が未熟なため、
外部環境に非常に敏感です。
そのため離乳時にはあらかじめ離乳舎内を温めておき、
その後もなるべく適正環境を維持できるようこまめに調整しましょう。
離乳直後は温度28℃、湿度60%が適正環境となります。

その後、次の豚舎に移動するまでに、
その豚舎の環境に適応できるよう、徐々に温度を下げていきます。
これからの時期はすきま風や冷水にも注意が必要です。
日頃から豚舎内に寒い場所がないか、
子豚が温まれる場所が確保されているかを確認し、
給水パイプは豚舎内を経由するようにして
温まるような工夫をするなどのきめ細かい対応により、
腹冷えによる腸内環境悪化が軽減できるものと思われます。

一方、飼料においては2018年4月から抗菌性飼料添加物としての
硫酸コリスチンの使用が禁止となります。
世界的な流れからも、畜産における抗菌剤の適正使用という課題には
業界全体として取組んでいくべき課題であると捉えています。
とはいえ、硫酸コリスチンの使用中止による生産性への
悪影響を心配される方も、いらっしゃるのではないでしょうか。

我々飼料メーカーもより子豚の消化生理に適した
飼料内容を検討し、生産性の顕著な悪化が生じることのないよう
対策を進めているところですが、離乳というストレスフルな環境に
さらされる子豚にとって、これまで以上に腸内環境が悪化してしまう
リスクが高まる可能性は否定できません。
上述した対応以外においても、より子豚の腸内環境に
やさしい管理を心がけていただけるよう、お願いいたします。

総合研究所 開発グループ 山本 拡則

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