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ブロイラーの消化管について


近年のブロイラー業界では世界的にも消化管について注目されています。
今回は鶏が飼料を摂取してから糞尿として排泄されるまでの流れと
飼料と消化管発達の関係性について一般的なことをご紹介したいと思います。


〇飼料摂取から排泄までの流れ

鶏の嘴から摂取された飼料や水はそ嚢と呼ばれる器官で
10~60分間かけて膨潤、発酵され、腺胃・筋胃に運ばれます。
腺胃は消化酵素や酸性分泌液の分泌、筋胃は飼料を磨り潰す役割をしており、
30~70分間かけて腺胃と筋胃を行き来し、腸管で吸収しやすいよう処理されます。
腺胃・筋胃で処理された後、小腸(十二指腸、空腸、回腸)へと運ばれ、
2~5時間かけて消化・吸収され、総排泄口から糞尿として排泄されます。

写真:鶏の消化管
鶏の消化管.jpg
※弊社研究所にて撮影(ブロイラー♂、35日令、体重2,100g)

〇飼料と消化管発達の関係性

ここで、飼料と消化管発達の関係性、特に原料の粒度に着目した
一例をご紹介したいと思います。
我々人間も毎日食べる食事によっておなかの調子や
糞便性状が変わるのと同様に、鶏も毎日摂取する飼料によって変わるため、
飼料(使用する原料の種類や粒度、飼料の成分や形状など)と
消化管発達の関係性について考えることは非常に重要となります。

例えば、粒度が粗い原料を多く含む飼料を長期間給与すると、
鶏にとって人間の歯の役割をしている筋胃は粒度が粗い原料を
磨り潰すためによく働いて発達します。
筋胃が発達することで、腺胃と筋胃の間で飼料の行き来が活発になり、
酸性分泌液や消化酵素と触れ合う頻度や殺菌効果が高くなります。

また、粒度が粗い原料は腸管内の粘度を下げるため、
小腸での蠕動運動も活発になり、腸管壁や絨毛なども発達します。
さらに、通過速度が遅くなることで結腸での水分の再吸収も活発になります。

逆に粒度が細かい原料を多く含む飼料を長期間給与すると、
上述した現象とは逆のことが起きます。

このように飼料は鶏の消化管発達に非常に重要な役割を果たしています。
さらに、これに加えて原料の種類、飼料の成分や形状が関係してくるため、
飼料メーカーのノウハウや技術力が重要となります。

弊社研究所では使用する原料の種類や粒度の選定、
独自原料の開発などを通じて、鶏の適切な消化管発達を目指した
飼料の研究開発に日々取り組んでおります。

総合研究所 開発グループ 永江 優作

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