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定期健康診断のすすめ

ホームページリニューアル後、最初の話題は「定期健康診断」についてです。

畜産業においては、牛でも豚でも鶏でも、昨今の生産成績の進歩の速度は目覚しいものがあります。たとえば豚であれば、1頭の豚から1年間に離乳できる子豚の数は、一昔前なら20頭を超えていれば、優秀養豚場といえたのですが、現時点では、トップクラスの農場は30頭を越えています。出荷日齢も、生後180日を切っていれば及第点であったものが、いまや農場平均で150日齢を切る農場も現れはじめています。

しかし、このような成績を出している農場は、いずれも病気による問題をクリアできている農場です。動物の能力の極限を求める現代の畜産生産においては、疾病による生産性の低下問題を抱えていては、トップを走ることはできません。そこで必要なのが、「定期健康診断」です。人間でも、私を含め、中高年になると毎年人間ドックを受ける人が増えているようですが、まったく同じ理由です。ストレスの多い社会の中で健康に長く生きるためには、己の健康状態を詳細に知る必要があるという事です。我々は、約30年前から、この家畜・家禽の定期健康診断を「システムパック」というパッケージにして、事業化してきました。現在も総合研究所の検査グループでこの仕事を継続しております。

特に把握したいのは、その農場に常在してじわじわと生産性を下げる病気で、これを我々は「常在性疾病」と呼んでいます。「常在性疾病」は、多くの場合、単独の病原体ではなく、複数の病原体が複合的に絡まりあって症状を現します。牛ではBRDC、豚ではPRDCとよばれる、呼吸器病の複合感染症候群がありますが、これらがその典型といえます。こういった複数の病原体の複雑な絡み合いは、個々の病原体が農場内でどのように動いているかを定期的に検査することで、始めてその実態に近づくことができます。

具体的には、各農場で年2回程度、血清と鼻腔内綿棒、死亡豚の臓器、糞便等を複合的に採材し、これらの検体で血清抗体検査、細菌検査、遺伝子検査、寄生虫検査を行いその結果を、農場の実際の状況と照らし合わせて総合的に判断し、農場独自の衛生対策を組み上げていきます。これらの衛生対策の検討は、その農場の事を良く知る獣医師の力がどうしても必要です。それぞれの農場ごとに信頼のおける管理獣医師との契約をしてアドバイスを得るのが理想的ですが、いない場合には我々検査グループの獣医師がご協力させていただきます。農場毎の検査プログラムの組み立て等、いつでもご相談に応じさせていただきますので、最寄の弊社営業担当者にお声をお掛け下さい。

(文責 総合研究所 検査グループ 矢原芳博)

総合研究所 検査グループ TEL 0287-37-4501 FAX 0287-37-4514

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