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消毒について、再度確認したいこと(その2)

前回は、農場においてもう一度確認しておきたい消毒時のポイントについてまとめましたが、さらにいくつかのポイントを挙げたいと思います。

1.消毒薬は、その種類ごとに効果的なpHがある。

消毒薬には様々な種類があり、それぞれに菌やウイルスを殺す仕組みが違っているのですが、その種類ごとに、効果が最も現れやすいpHがあります。

一般的に言えば、塩素系やヨード系消毒薬は酸性の時に最も効果を発揮しやすく、逆性せっけんは、アルカリ性溶液で希釈すると効果が高まると言われています。またグルタラール系の消毒薬は、pH7.5〜8.5の間で効果を発揮するので、使用時にはpHを調整するための緩衝剤と一緒に希釈します。またグルタラール系の消毒薬の消毒効果は強力ですが、希釈した後は、比較的不安定になるので早く使い切る必要があります。それぞれの消毒薬が最も効果を表すpHで使用する事が重要です。

また、消石灰の粉末を農場内の通路や舎内に撒くこともあると思いますが、消石灰はアルカリ性ですから、撒いた後に塩素系やヨード系の消毒薬を噴霧すると効果は減弱してしまいます。消毒薬の使い分けには充分な注意が必要です。

2.身体の防護もお忘れなく

時節柄、特に養豚場、養鶏場は皆さん消毒を一生懸命されていると思われますが、菌やウイルスを殺す消毒薬は、人体にも少なからず悪影響を及ぼす可能性があります。まずは濃い消毒薬が皮膚に触れると炎症を起こす場合があります。

またグルタラール系の消毒薬は粘膜刺激性が強い特徴がありますので、目に入ると危険です。また霧状に散布した場合に口から入り喉の粘膜が炎症を起こすことがあります。消毒を強化する際には、消毒薬を扱う人間に対して充分防護できるスタイルで実施しましょう。たとえば通常の作業服の上に防水性のあるカッパや紙つなぎを着て、ゴム手袋、マスクにゴーグルが基本の装備です。面倒かもしれませんが、充分な装備で、目や皮膚や喉を気にせずに存分に消毒できます。

3.消毒薬の金属腐食性にも気をつけて

一般的に塩素系やヨード系の消毒薬は、金属に対する腐食性が強いといわれています。車輌への消毒の際や、畜舎内の鉄柵や金属部品への消毒の際には注意が必要です。車の故障や、畜舎内での漏電などに繋がる可能性もあります。消毒薬も適材適所が大事です。

(文責 総合研究所 検査グループ 矢原芳博)

総合研究所 検査グループ TEL 0287-37-4501 FAX 0287-37-4514

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