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レンサ球菌症が目立っています。

気温差の激しい春から、日によっては真夏並みの暑さを記録する日も多く、引続き寒暖の差のストレスから豚を守る事に神経を使う日が続いています。そんな中で養豚場内部ではレンサ球菌症の発生が目立つようになってきました。レンサ球菌症について改めてこのコーナーで取り上げたいと思いますので、再チェックをお願い致します。

レンサ球菌症の発生原因は?

レンサ球菌症とは、その名の通り、レンサ球菌(Streptococcus suis;ストレプトコッカス ズイス)という菌が子豚に感染して起きる疾病です。この菌は、養豚場の中や健康な子豚の口の奥(扁桃と呼ばれる部位や腸管の中)などに常在菌として存在する菌です。この菌が病気を起こすためには、それなりのきっかけが必要です。たとえば、飼育環境が、暑すぎる、寒すぎる、密飼い、等々によるストレスが引き金として考えられます。今年の春は寒暖の差が特に激しかった事が、レンサ球菌症多発の原因として考えられます。また、PRRSや豚サーコウイルス2型などのウイルス性疾病もレンサ球菌症発症の引き金になると言われており、農場全体の疾病の状況を良く把握しておく事も非常に重要です。

その症状と対策は?

レンサ球菌症で最も良く知られている症状は、痙攣や遊泳運動などの神経症状といわれる症状です。これは感染した菌が脳に上がって脳の中で増殖する事で起きる症状です。脳内で菌が増えだすと、感受性のある抗生物質を注射しても脳へ届きづらいため効果を発揮できません。典型的な症状を出す前に示す、犬座姿勢(犬ずわり)やボーっと立ち尽くして動かない等の初期症状をできるだけ見つけて、その時点で対策を打つ事が重要です。使用する抗生物質はペニシリン系の抗生物質が有効です。注射での個体治療、好発時期が特定できるなら飼料添加あるいは飲水投与による対応も効果的です。発症率が非常に高い場合にはワクチン接種が効果を発揮する場合もあります。

他の神経症状との類症鑑別が重要です。

神経症状を起こす2大疾病として、レンサ球菌症と浮腫病が知られています。浮腫病の場合は、ペニシリン系の抗生物質によって症状が悪化する危険もあり、神経症状を見たら、どちらの疾病かをきっちりと見分けなければなりません。細かい見分け方はありますが、症状だけで判断する事は難しいので、死亡豚の検査を行う事をお勧めします。

(文責 総合研究所 検査グループ 矢原芳博)

総合研究所 検査グループ TEL 0287-37-4501 FAX 0287-37-4514

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