早期からの肺炎の発症に注意しましょう。
例年にない寒さの冬から一気に暖かい春がやって来ましたが、気温は日替わりで大きく上下して、真冬よりもむしろ肺炎の発症が心配される季節です。我々の関与する養豚場のうち数ヵ所では、離乳直後や哺乳中に呼吸器症状が見られるケースも散見されています。これまであまり見かけないステージでの肺炎であり、子豚が小さい分だけ、病気に対する抵抗力も小さく、症状が一気に進んで死亡する場合もありますので注意が必要です。このような肺炎が発症する場合の原因として以下のような事が考えられますので改めてチェックをしてもらえれば幸いです。
分娩舎、離乳舎の湿度は十分取れていますか?
特に分娩舎では、肺炎に至る前に、哺乳豚のくしゃみが増えるケースがあります。このような時には、舎内の湿度が下がっていないか確認してください。空気が乾くと子豚の口や鼻の粘膜が乾き、くしゃみに繋がります。さらにそのままの状態が続くと、乾いた粘膜に傷が付き、そこから肺炎の原因菌やウイルスが体内に侵入しやすくなります。分娩舎でも離乳舎でも豚舎内の理想的な湿度は60~80%といわれています。豚舎内の積極的な散水など、湿度を保持する工夫が求められます。
分娩舎、離乳舎は暑すぎませんか?
今年の冬は寒かったので、皆さん防寒対策には相当気を使われたと思います。しかしここ最近急激に気温が上昇する日が増えて、舎内温度を下げきれていない農場も見かけられます。豚舎側面の目張りなど、極寒期の対策が残っているなら、すぐに取り外しましょう。季節毎の対策はどうしても後手後手になりがちです。もうすでに夏場対策に取り掛かるくらいの時期に来ています。
母豚の更新率が上がっていませんか?
母豚の更新率が高くなると、特に若い母豚の抗体保有状況にバラツキが出て、哺乳豚や離乳豚にトラブルが発生しやすくなります。分娩舎での大腸菌による下痢は良く知られていますが、肺炎についても同様の事が起こる可能性があります。外部導入する母豚育成豚は出来るだけ150日齢程度で受け入れて馴致に十分な時間をかけてやる事がトラブル回避のポイントとなります。
(文責 総合研究所 検査グループ 矢原芳博)
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