豚舎に入り込む風を制御するアイディア
今年も気がつけばもう10月です。冬の到来も、もうそこまで迫ってきています。つい昨日まで暑さ対策をしていたのに、と思うかもしれませんが、冬場の環境対策を始める時期が来ています。冬場の環境管理で最も大事なのは、豚を寒がらせない事です。豚が感じる寒さは、入ってくる風の温度、湿度と風速で決まります。ただカーテンの開閉だけでは、この要素をコントロールするのは難しいものです。これをうまく調整するいくつかのアイディアをご紹介しましょう。
寒冷紗は夏場だけのものではない。
夏場の暑さ対策に、寒冷紗を側面に張っている豚舎を良く見かけます。直射日光を遮り、舎内温度を下げる効果が期待できます。この寒冷紗を冬にうまく使うと、豚舎に入り込む風の速度を弱める事ができます。夏場は褄から外側に広げて張りますが、真冬では、側面にぴったりと付けて張ります。少し長めに張っておいて、床面に垂れ下がった部分の上に、石や角材、鉄骨などの重石を載せておけば、バタつきません。
ただし、秋口には側面に固定せず、その日の気温を見て、裾を広げたり閉じたりして調節します。
真冬の豚舎の換気方法
特にカーテン豚舎の場合、真冬でも最低換気量を確保するために、カーテンを僅かに開けて換気を取らなければならないケースがありますが、開け方や風向きが悪いと、風速の早い風が特定の豚房に当たってしまいます。こんな時には、夏場用に使用していたファンをうまく回すと舎内の暖かい空気を攪拌しながら、うまく最低換気を確保できる場合があります。順送ファン(あるいはメータファン)にインバーターを組み合わせて、ゆっくりとファンを回す事で舎内の空気が攪拌され、豚舎全体の保温ができ、かつ換気量も確保できます。具体的な方法については、豚舎構造によって変わってきますので一概には言えませんが、カーテンの開閉だけで行っていた換気調整が易しくなることもあるのでチャレンジする価値はありそうです。
また、順送ファンが付いていない豚舎では、ストレートファン(あるいはサーキュレーター)と呼ばれるタイプの直径の小さいファンを使っている農場もあります。
これらのアイディアは、特に肉豚舎で有効な方法です。冬場に肺炎の発生で悩んでいる農場では、抗生物質よりも反応がよいかもしれません。ぜひ一考を。
(文責 総合研究所 検査グループ 矢原芳博)
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