残暑対策と秋口への備え
7月中旬から急にやってきた猛暑で、繁殖豚も肉豚もバテ気味ではないでしょうか。肉豚については、朝晩が涼しくなれば食下量が増えてきますので、比較的後を引く事はないと思いますが、繁殖豚については夏場の疲れがどっと出てくる時期であり、むしろ9月にいかに母豚の状態を回復させるかが重要なポイントです。
昼は冷やす対策を継続、朝晩は冷えすぎないよう注意
前回も夏後半の暑さ対策について書きましたが、昼間の最高気温はまだまだ高く、昼間に豚を冷やすのは引き続き必要ですが、逆に夜中や朝方に冷えすぎない様な配慮が必要です。昼間のドリップクーリングでストールの床が濡れたまま、朝方冷え込んで母豚の腹が冷やされると、胎児への血流量が減り、白子、黒子の増加や生時体重の減少が起きる可能性があります。適宜オガ粉を敷いてやるのも良い方法です。
冬場対策は、秋口から
毎年、毎年、同じ事の繰り返しになってしまいますが、夏場対策は春先から、冬場対策は秋口から始めないと間に合いません。カーテンの補修、すきま風の入る場所の修繕、分娩舎や離乳舎の保温設備のチェック等々、先倒しの作業で、結局はちょうど良いタイミングになるはずです。
疾病は呼吸器病対策にシフト
豚の呼吸器病は、基本的には室温の日格差に一番強く影響を受けます。日格差10℃を越えると、リスクは急に大きくなるといわれており、いかに温度差をなくするかがこれからの課題になります。これもこのコーナーで数回繰り返していますが、舎内の最低温度を引き上げるのは意外に難しいものです。逆に昼間の換気を充分に取ってやる事で最高気温の上昇を下げてやる事が日格差を縮める効果的な方法です。昼と朝晩の換気などの環境コントロールのメリハリを意識的に大きくすることが重要です。
また、昼間は咳が聞こえない豚舎でも、夜や朝方冷え込んで咳をしているケースもあります。特にこの時期だからこそ、夜間や明け方の豚舎の状況を実際に農場に入って確認する事も重要です。朝の強い方は朝方に、夜の強い方は夜中に農場ツアーを実施してみてはどうでしょうか。
(文責 総合研究所 検査グループ 矢原芳博)
総合研究所 検査グループ TEL 0287-37-4501 FAX 0287-37-4514