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氷を使って母豚を冷やす

今年もスタートこそ遅れがちだったものの、また猛暑がやってきました。本コーナーでも毎年のように暑さ対策について取り上げておりますが、それでも今年もしつこくお話したいと思います。

母豚への影響は夏後半が本番

今年の夏は7月下旬から猛暑が始まり、例年より少し遅めの夏本番ですが、母豚にとって本当の正念場はむしろ夏の後半になります。7月中はまだ食下量の落ちていない農場も多いように感じていますが、ここで暑さ対策を入念に行っておかないと、8月末から9月にかけて暑さに疲れた豚が成績を落とします。母豚にとっての夏はむしろ夏の終わりが佳境と言えます。

氷を上手に使う!

豚にとって水が重要である事は昨年夏の本コーナーでも特に強調したところです。豚は調子が悪くなるとむしろ水を飲もうとしなくなります。あの手この手を使って、母豚へ水を飲ませる工夫が必要です。ピッカーの位置、水量、飼槽への水溜め等々については、バックナンバーをご参照ください。

今年のワンポイントアイディアは氷を上手に使う事です。数年前からペットボトルクーリングという方法が紹介され、多くの農場で実践されています。ペットボトルに水を入れ、凍らせて母豚の首筋の上に吊るすと、氷がゆっくり解けて母豚の首筋に長時間冷たい水が滴下できるというもので、これは相当効果があります。これにファンによる送風を加えると更に効果倍増です。

更に、氷そのものを母豚に食べさせてはいかがでしょうか。角氷を大量に作っておいて、これを食欲の無い母豚の飼槽に入れてやると、やおら立ち上がってバリバリと食べだします。母豚の身体を中から冷やす、とっておきの方法です。その後、水と飼料を足してやれば、これをきっかけに食いだす母豚もでてきます。「そんなにたくさんの氷、うちでは出来ない。」と思われるかもしれません。ちょっと街道沿いのリサイクルショップに行ってみてください。中古の製氷機が格安で売っていたら"買い"です。また最近では、冷凍保存庫がかなり安くホームセンターなどでも売られていますので、これを使う手もあります。夏バテがひどくならないうちに母豚を冷やすため、あらゆる手段を考えましょう。

(文責 総合研究所 検査グループ 矢原芳博)

総合研究所 検査グループ TEL 0287-37-4501 FAX 0287-37-4514

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