冬を迎える時期に気になる疾病
今年の秋は、暑くなったり寒くなったり、気温の差が非常に大きいような気がします。そろそろ農場内では、冬場に発生しやすい疾病の動きが目立ってきているように感じますが、皆さんの農場ではいかがでしょうか。今回はこの時期気になる2つの疾病をピックアップしながらチェックをしてみていただければ幸いです。
スス病
スス病は、哺乳期から離乳期の子豚に発生しやすい疾病です。顔の辺りから黒いかさぶたのようなものが広がりだし、そのうち全身の皮膚が真っ黒に汚れてきます。そのままにしておくと、さらに皮膚がベトベトに濡れてきて、最後に鎧を着たように分厚いかさぶたに覆われて死亡します。スス病はブドウ球菌の一種が原因菌といわれていますが、この菌は環境中に常在する菌でもあり、発症にはそれなりのきっかけが必要です。特にこの病気が起きやすいのは、分娩舎あるいは離乳舎の換気量が減って、舎内の湿度が高くなっている時です。季節的には梅雨時期(外気中の湿度が高い時期)と、秋から冬にかけて(気温が下がって換気量が減り、豚舎内の水分が充分に外に排出できない時期)が挙げられます。
- 分娩舎や離乳舎の湿度を測定して、80%以上になっている時は要注意です。
- むやみに換気量だけを上げられない時期ですが、換気しないと舎内の水分が抜けません。効率は悪いですが、豚舎を保温しながら同時に換気をする必要があります。豚舎全体を保温するのでなく、保温箱を利用した部分保温も有効です。
- ごく初期であれば、ヨード系の消毒薬をぬるま湯で希釈(500倍程度)して、そこに漬けてやる方法もあります。この時子豚を濡らしたままにせず、1回ごとによく拭いてやる必要があります。
浮腫病(毒素原性大腸菌症)
関東、南九州のいくつかの農場で最近再び発症が目立っているようです。しばらくは発症が無かったために、数年前に実施していた様々な大腸菌症対策を中止しているケースが多いのではないでしょうか。離乳後の急死や神経症状、下痢などの症状が目立つ場合には、死亡豚の検査を行い原因を確かめた上で、大腸菌症対策を復活させましょう。具体的には生菌剤、有機酸の投与、大腸菌の菌体を壊さない抗菌剤の選択等々が考えられます。生産コストの低減が求められている時勢ではありますが、ポイントを絞った対策を取る事で成績改善につなげたいところです。
(文責 総合研究所 検査グループ 矢原芳博)
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