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夏から秋への飼育環境対策

暑かった夏も終わりに近づき、これからいよいよ呼吸器病の多発するシーズンがやってきます。すっかり暑さ対応型の環境調整を行っていた豚舎では、朝晩の冷えに対処できるような準備が欠かせません。一回の管理ミスで始まった肺炎を止めるには数ヶ月掛かることも珍しくありません。夏から秋への移行期のポイントをいくつか挙げますので、チェックをお願いします。

豚舎設備の再チェック

秋冬対応の管理を行う上で、豚舎の設備の再チェックが必要です。夏場対応になっている豚舎を、これからの季節向けに調整しなおしましょう。

  1. オープン豚舎の場合、カーテンの破れや不具合は無いか?
  2. 分娩舎や離乳舎の保温箱のコルツヒーター、ガスブルーダー、ビニールのれんは整備されているか?
  3. 豚舎の壁などからのすきま風は無いか?

秋冬に向け、豚を冷やさないための準備を万全に進めましょう。

気温差のストレスは昼間の暑さ対策が重要

春先のこのコーナーでも書いた話ですが、この時期に最も悩まされるのは気温差です。特に朝晩の急な気温降下によって子豚が咳をしだすと、その後重篤な肺炎に進みやすくなります。朝晩の冷えへの対応は誰もが気にしますが、昼間の暑さがまだ残っているので、こちらの対策もしてやる必要があります。昼間の高温対策を行うことで気温差を感じさせない作戦です。送風ファンやダクトなどは、昼間まだまだ最大限に使用していきましょう。

濡れている豚にご用心

豚は暑くなると自分の身体を濡らして気化熱で涼しくなろうとします。特に平床あるいは部分スノコの豚舎では、床を濡らして自分自身も濡らします。夏場にはこの豚の本能が暑さ対策に役立ちますが、朝晩の冷えがやってくると、急激に体温を奪う危険があります。特に小さな子豚ほど体温保持能力が弱いため、一晩で豚が参ってしまう事も少なくありません。濡れている豚のいる豚房は、一度床をきれいに掃除してオガ粉をまくなど、豚を乾かす対処が必要です。寒さ対応が早すぎて豚舎が蒸れてしまっているケースもあります。昼間はまだまだ換気により豚舎の湿度を舎外に出さなければなりません。この時期は、昼間は暑さ対策、朝晩は冷えへの対応というように、両方の季節の対策のバランスが重要です。

(文責 総合研究所 検査グループ 矢原芳博)

総合研究所 検査グループ TEL 0287-37-4501 FAX 0287-37-4514

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