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気温差の激しい時期の養豚場の環境調整について

この度の東日本大震災において、被災された皆様には心からお見舞いを申し上げます。

今回は、ここ最近の外気温の変化が激しい時期の養豚場の飼育環境の調整についての留意点をまとめてみました。少しでもお役に立てれば幸いです。

まずは、気温差への対応

桜前線が北上しつつありますが、この時期最も悩まされるのが気温差です。1日の中での気温差もそうですし、昨日と今日で最低気温が10℃も違うという日もあります。オープン豚舎であればカーテン操作、ウインドレス豚舎であれば、温度設定の調整に悩まれることも多いと思います。

オープン豚舎の場合のカーテン操作は、特に舎内の最高温度を上げないように、日中に思い切って換気をとることがポイントとなります。この調整は、朝の管理時、夕方の管理時だけでなく、一日に何度も、舎内の様子を見ながらこまめに行わなければなりません。数時間のうちに舎内温度が急に上がったり、風向きが変わって冷風が吹き込んでいたり、環境の変化は、驚くほどすばやく現れます。

またウインドレス豚舎の場合には、舎内温度の設定を一年中変えないでよいわけではありません。外気温や湿度の影響で、設定温度どおりの舎内温度にならないことも多いので、毎日の室内の状態を見ながら、微調整を行わなければなりません。

いずれにしても、この時期は、舎内の豚の状態を見ながら、こまめな調整を行わなければ、気がついたら咳がどんどん増えていたということになってしまいます。

温度だけでなく、湿度にも注意が必要です

温度管理も重要ですが、この時期、舎内の湿度も大きく変化します。急に気温が上がり雨が続くと、いっぺんに湿度が上昇します。分娩舎や離乳舎で湿度が上がるとスス病の発生が目立ちだします。舎内の水分を意識して外に出すための換気が必要です。

逆に、天気が続き湿度が50%を切ると、咳が目立ち始め、肺炎による事故が増加します。積極的な加湿が必要です。細霧や床への散水も効果的ですが、湿度を維持できる時間が意外と短い場合があります、潅水ホースなどを使いながら、常時水分を供給できる工夫が望まれます。温度計と共に湿度計を豚舎内に設置して観察しましょう。最近では、温度、湿度を24時間測定できる装置も、そう高くない値段で入手できます。人のいない夜間の温度、湿度のチェックが出来ますのでお勧めです。

(文責 総合研究所 検査グループ 矢原芳博)

総合研究所 検査グループ TEL 0287-37-4501 FAX 0287-37-4514

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