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PCV2ワクチン接種後の衛生対策のポイント その2

前回に続き、PCV2ワクチン接種後の衛生対策のポイントについてご説明します。

3. PCV2ワクチン接種後に事故が減少し、在庫頭数が増えたら。

PCV2ワクチンの効果によって離乳後事故が減ると、数ヵ月後には農場の子豚在庫頭数が増加してきます。これはすぐに飼育密度の上昇に繋がります。飼育密度の上昇により、豚舎内の換気不足が生じ、胸膜肺炎(APP)の発生の危険があります。既にいくつかの農場でこのパターンが見られます。このようなAPP発症対策としては、

(1)飼育密度の低減。

もし豚舎に余裕があるなら少しでも密度を薄くする。しかしこれは、多くの農場では難しいといわざるを得ません。

(2)換気量を増やす。

抗生物質を投与しながら、換気量を増加する。肉豚舎の事故は豚舎の温度不足よりも換気量不足の可能性が大きい。なお換気は間欠的に行い、一日中豚に風が当たるのは良くない。あるいは豚房内に風を避けられる場所を確保する。

(3)母豚頭数を減らす。

事故多発時に増頭した母豚を適正頭数に戻す。

(4)やむを得ず子豚を他農場に移動する。

しかし母豚頭数を減らし、生産子豚数に影響が現れるまでには時間がかかります。緊急避難として子豚で販売したり、預託契約をして子豚を移動するなどの方法も考えられます。せっかく生まれた豚を、子豚で外に出すのは、非常に惜しいでしょうが、これを惜しんで肉豚の事故につながっている農場がいくつもあります。

(5)APPワクチンを中止しているなら、その再開

その1で書いたとおりです。

PCV2ワクチン接種により免疫が正常に機能している豚は、食下量が増え、一日増体量が増えます。このような子豚は代謝が活発ですから、従来よりも一頭当たりが消費する酸素の量も増えているはずです。ワクチン接種前には問題のなかった換気量でも、ワクチン接種後には不足しているかもしれません。再チェックが必要です。豚舎内に順送ファンを増設するのは、比較的安価に出来る対策のひとつです。

(文責 検査センター 矢原芳博)

総合研究所 検査グループ TEL 0287-37-4501 FAX 0287-37-4514

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