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豚サーコウイルス2型(PCV2)ワクチン接種後の衛生対策のポイント その1

昨年3月に待望のPCV2ワクチンが日本で発売され始めてから、既に一年半が経とうとしています。このワクチンの効果は非常に顕著で、接種した多くの農場が何らかの効果を挙げております。しかしここに来て、離乳後の事故率が再び上昇しはじめている農場も散見されています。これらの事故は、PCV2ワクチンの効果が無くなって起きたもと言うよりも、PCV2がコントロールされた後に、他病に対する管理に問題があって起きているものと考えられます。
そこでPCV2ワクチン接種後に陥りやすい状況とその対策について、3回シリーズでまとめましたので農場管理の一助になれば幸いです。

1. ワクチン接種日齢はいつ頃が適当か

PCV2子豚接種ワクチンは、接種後、発症軽減効果が現われるまで、4~5週間必要といわれています。現状では生後3週齢の接種が一般的と思われますが、発症が早ければ、2週齢まで接種を早めたほうが良い場合もあります。接種を早める事による問題はほとんど無い様です。(2週齢以前の子豚への接種は、場合によっては適応外使用になる場合がありますので、お近くの獣医師にご相談下さい。)
逆にワクチン開始時に、基本プログラム3週齢でも、4週、5週、6週と、遡って大きい豚に接種するケースも見られますが、効果が見られない場合が多いだけでなく、逆に症状が悪化する場合もありますのでお勧めできません。
移行抗体の影響を考慮して、母豚群や初生豚の抗体検査を行い、子豚へのワクチン接種適期を決定する方法もありますが、子豚の抗体はばらつきがつきものです。一群4~5頭の採血で平均抗体価を算出しても、ばらついている子豚には適用できません。子ブタのワクチン接種時期を遅らせるのは、それなりの確かな確証に基づいてでなければなりません。

2. PCV2ワクチン接種する場合、他のワクチンの接種はどうするか。

PCV2ワクチンは高価である事もあり、接種開始時に他のワクチンをやめてしまうケースも見られます。しかしPCV2ワクチンはPCV2や、それをベースとした複合感染にのみ効果を発揮するものであり、他のワクチンは継続して接種すべきです。具体的に言えば、胸膜肺炎ワクチンやマイコプラズマワクチンについては是非継続すべきです。但しマイコプラズマワクチンは、PCV2ワクチンと接種時期が重なってしまう場合もあります。PCV2ワクチンを優先し、マイコワクチンは1週間以上のインターバルになるように前後に移動するのがよいでしょう。

(文責 検査センター 矢原芳博)

総合研究所 検査グループ TEL 0287-37-4501 FAX 0287-37-4514

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