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カビにはご用心!

一部の地域ではすでに梅雨が明けたようですが、今年の梅雨は雨が降る時は大雨で、降らない日は夏のような日差しで、という特徴のある梅雨だったように思えます。特に雨の次の日の晴天は、気温の上昇もさることながら湿度が非常に高く、不快指数も大幅にアップするようです。しかし、こういう時こそカビにとっては過ごしやすい時期なのです。

皆さんは飼料タンクに上って中を覗いた経験がありますか? 私も先日、とある肉牛農場でタンク上り初体験をしました。高さにも驚きましたが何より暑さに参ってしまい、タンク数本の飼料の残量を確認しただけでフラフラするくらいでした。カビの発生しやすい状況は、温度20℃以上、湿度70%以上とされていますので、実際にタンク内がどれくらいの温度と湿度になるかを測定してみました(下の表)。 外気よりも空のタンクが温度・湿度ともに高く、さらに飼料が多く入っているタンクでは湿度がかなり高くなっています。測定当日はカラッとした天気でしたが、皆さんが蒸し暑いと感じる日は温度・湿度はもっと高い値になると予想されます。そのような日が連続する時は、やはりカビに注意が必要といえそうです。

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カビの生えた飼料は様々な悪影響をもたらします。まず、悪臭や味の変化による採食量の低下がひとつです。さらに目には見えないカビ毒による繁殖障害で受胎率の低下や産子数の減少、牛ではビタミンB1が分解されることによる大脳皮質壊死症も報告されています。ある農場で乾草の切断面にびっしりカビが生えているのを目撃したことがありますが、農場の方は「カビが生えている所は取り除くから」というお話でした。カビは目に見えている部分を取り除けば大丈夫なものではなく、カビが生えている乾草の全体が菌糸(カビの根のようなもの)に汚染されているのです。また、すべてのカビがカビ毒を産生するわけではありませんが、毒素を出すカビとそうでないカビを見た目だけで区別する事はできません。

当社の工場でも夏場の生産には細心の注意を払っていますが、農場で可能なカビを防ぐ方法としては、

  1. タンクを遮光カバーで覆う、日陰に設置する等の環境を整備する。
  2. 飼料は適量を補充し、必要以上に長期間タンクで保存しない。
  3. カビ吸着剤を使用する。
  4. 紙袋の飼料は冷暗所で保管する。

等が挙げられます。小さなカビが思わぬ事態を引き起こすことがありますので、この時期に皆さんもカビ対策を考えてみられてはいかがでしょうか。

(文責 検査センター 鶏尾めぐみ)

総合研究所 検査グループ TEL 0287-37-4501 FAX 0287-37-4514

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