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豚舎の洗浄・消毒はピッカーまで

すっかり春めいてきたこの頃ですが、季節の変わり目で日毎の気温の差も大きく、多くの農場でPRDCによる事故が目立つ時期でもあります。また、3月中旬にはPCV2のワクチンも発売され、接種を始めた農場ではその効果を待ち遠しく思っているという話をあちこちで聞きます。PRDCの対策としては、各疾病に対するワクチンも有効ですが、ワクチン以外の一般衛生対策も重要だということは皆さんも様々な情報からご存知かと思います。

一般衛生管理については、マデックの20の法則を以前のトピックス・70539「豚サーコウイルス2型って何?(その4)~PCV2対策について」で紹介させていただきました。この法則の中に、「ピット下の洗浄・消毒」という項目があります。豚をアウトした後、豚房はもちろんピット下も洗浄・消毒しようというものですが、今回はさらに加えてピッカーの洗浄・消毒をご紹介します。

実際にピッカーの洗浄・消毒作業を行ってみました。(以下は一例です。ピッカーのメーカーや仕様によって部品等は異なります)

  1. 水道の元栓を締めた後、レンチを用いてピッカーを取り外す。
  2. キャップ・メッシュ・スプリング・作動棒・Oリングなどの部品に分解する。
  3. 各部品(特にメッシュ)につまったゴミを取り除き、流水で洗浄する。
  4. 逆性せっけん消毒液に浸す。
  5. 十分に乾燥させた後、元通りにピッカーを取り付ける。

豚舎の壁やスノコ等は比較的洗浄しやすく、汚れや病原体を落とすのもそれほど難しくはないようです。一方で、ピッカー等の細かい隙間の多い器材を洗浄するのは、手間も時間もかかり大変な作業です。しかし、十分に消毒・乾燥させた豚舎でも、ピッカー内の水道接合部は水分が残っていることが多く、ここに乾燥に弱いウイルスや細菌が残っていることも考えられます。せっかくきれいな豚舎に豚を入れても、ピッカー内に残っていた病原体が感染する可能性もあります。長年取り付けたままのピッカーをはずす作業はかなり力が要りますが、毎回のアウト後に実施すれば、それ程大変ではなくなると思います。また、メッシュ部には予想以上にたくさんのゴミがつまっており、これをとり除くことで流量の確保にもなります。

面倒な作業ではありますが、すでに作業のひとつとして実施している農場もあります。衛生管理の徹底に向けて、できることから始めてみてはいかがでしょうか。なお、作業終了後に水の元栓を開ける事をくれぐれも忘れないようにしてください。

(文責 検査センター 鶏尾めぐみ)

総合研究所 検査グループ TEL 0287-37-4501 FAX 0287-37-4514

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