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冬場のすきま風対策について

今年もあっという間に12月になってしまいました。冬本番を迎え、各農場では大なり小なり、いわば「冬場対策」といわれるものを行っていますが、備えは充分にできていますか。特に呼吸器病対策として、すきま風対策を再チェックしてみてはどうでしょう。

開放豚舎では、豚舎の至る所からすきま風が侵入してきます。PRRSなどの呼吸器病に感染すると、風に対する豚の抵抗力が落ちてしまいます。ほんの微風なのに極端に寒がっている子豚は豚舎にいないでしょうか?人間だって風邪をひいて熱があるときには、部屋をかなり暑くしてもまだガタガタ震えます。出来るだけ丁寧に、豚舎の細かい穴まで塞ぎましょう。小さな穴ほど、そこから入り込むすきま風の風速は早くなります。速い風ほど子豚には毒です。また風の吹き込む豚房では、子豚が平床をすぐに汚します。夏場はともかく、冬に子豚が濡れると気化熱が奪われるため体感温度がさらに下がってしまいます。濡れている豚が居る豚房には、風が吹き込んでいる可能性が高いので、その豚房を中心にすきま風の原因を突きとめましょう。

また、天井の排気モニターは開放のままではないですか?冬でも昼間は、豚舎内の温まった空気が真上に抜けていく方向で換気ができているかもしれませんが、真夜中には必ず真上から冷気が下がってきているはずです。天井モニターは冬場は閉め切っても問題ない場合が多いので、目張りしてしまってはどうですか?閉じきる事ができない場合には、天井モニターの真下をコンパネ等で遮って、真下に直接冷気が下がらないようにするのも方法です。

ウインドレス豚舎では、排気ファンの回転を舎内温度で制御している場合、寒くなってきたので温度設定は変えずにファンヒーターを動かしたら、急に子豚が咳をしだしたというケースがありました。ヒーターで急に舎内温度が上がったため、排気ファンが全速で廻り始め、豚舎内に風が吹き荒れている状態です。こんな状態が数時間も経過すれば、離乳豚ならすぐに毛が伸びて豚が死にだします。温度と換気のバランスは本当に微妙なものです。ファンの設定は温度という数字で決めるのですが、これは決して「自動」で環境がコントロールできるという事ではなく、バランスが保たれているかどうかのチェックは人間でなければできません。

分娩舎の保温箱には蓋がついていますか?上からガスブルーダーやコルツヒーターが吊るしてあったとしても、冬場には屋根が必要です。また手作りの保温箱の場合、建て付けが悪くて風が入ってしまう箱はありませんか?冬場なのに保温箱の中を糞尿で汚すペンでは、すきま風が吹き込んでいる可能性があります。離乳舎の保温箱も同様にチェックが必要です。

以上、本格的な冬が来る前に対策を終えておきましょう。

(文責 検査センター 矢原芳博)

総合研究所 検査グループ TEL 0287-37-4501 FAX 0287-37-4514

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