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飼料を食い込ませるために(ウエットフィーダーの場合)

前回から給餌器の調整についてご紹介していますが、今回はウエットフィーダーについて考えてみたいと思います。ウエットフィーダーは1980年代後半頃から輸入品が紹介されると、すぐに国産の様々なタイプも紹介され、現在では多くの農場で採用されています。ウエット給餌では、(1)1頭口あたりの飼養頭数を多くできる。(2)飲水量、特にこぼし水が少なく汚水処理設備への負担が少ない。等の長所があるといわれておりますが、長所を生かせるのも適切な調整があっての事です。以下の点について再チェックしてみてはどうでしょうか。

1.必要な口数が用意されているか?

ウエットフィーダーの場合、ドライフィーダーと比較して飼料摂取速度が速くなるため、1頭口あたりの給餌頭数は多く設定できます。一般的に1頭口あたり8~10頭が適当といわれています。多すぎると発育速度や体重のばらつきに影響がでるのはドライフィーダーと同じです。

2.取り付け場所は適当か?

設置場所についてはドライフィーダーと同様です。特に2頭口の場合、豚房の隅に設置したため、片方の口では豚が十分に頭を入れられない状態になっているケースを見かけます。また最近、離乳~子豚期の給餌器では、円形で周囲がすべて給餌口になっているタイプがありますが、このタイプも豚房の面積が十分ないとすべての口が有効に使えません。

3.こまめな調整と清掃が大事

ウエットフィーダーでは飼料の出る量の調整は特に重要です。調整がまずいとすぐに飼槽が飼料でいっぱいになってしまいます。ウエットの場合、そこに水が同時に溜まるので、特に夏場はあっという間に腐敗してしまいます。また飼槽内に水と飼料がいっぱいになると、給水器のピッカー部分が埋もれてしまい、水も飲めなくなってしまいます。飼槽の清掃はドライ以上にこまめに行う必要があります。

4.給水器の水圧について

給水器の水圧が強すぎると飼槽にすぐに水が溜まってしまいます。減圧弁により水圧を落とすか、フィーダーについているコックを使って最良の水量を調整する必要があります。メーカーの推奨よりも大きい減圧が必要な場合もあります。また豚房内にはウエットフィーダーの給水器以外にも給水器を設置する事をお勧めします。大きく減圧している場合は特に必要です。逆にフィーダーの給水器を止めている農場もありますが、その場合このフィーダーはドライフィーダーと同じです。多くの場合、口数不足になってしまいますのでご注意下さい。

(文責 検査センター 矢原芳博)

総合研究所 検査グループ TEL 0287-37-4501 FAX 0287-37-4514

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