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ホルモン剤って難しい? ~ホルモン剤の使い方~

先日、ある農場の方から「ホルモン剤はたくさんの種類があって使い方が分からない。分かりやすくまとまっている表などはないものか」というお話を伺いました。ホルモン剤は正しく使えば良好な効果が得られますので、各ホルモンの特性を正しく認識して選択・使用することが大切です。そこで今回は、ホルモン剤の使用法についてまとめてみました。

表1021_01.png

<交配>

1.無発情の治療

PMSまたはhCGの単独投与で卵巣の発達を促し発情を誘起する。2~5頭の群飼とし、雄豚と接触させる。
PMS注射で発情を誘起し、交配直後にhCG注射で排卵を促し黄体を形成する。
(1)または(2)でも発情が来ない場合は、黄体遺残の可能性があるので、PGF2_(ジノプロスト)の朝夕2回注射を3日間連続実施する。

2.分娩後の発情誘起(発情の同期化)

  1. 離乳後1~3日にPMSまたはhCGの単独投与で発情の同期化を図る。
  2. 離乳後1~3日にPMSを注射し、48~96時間後にhCGを注射することで、排卵時期をhCG注射後40~48時間に同期化する。
  3. hCGとPMSの複合製剤(スイゴナン)もあり、未経産豚の発情誘起にも適用。

3.多排卵誘起:

産子数増加を目的とし、離乳後1~3日にPMSを注射する。

4.鈍性発情 :

発情が明瞭でないとき、エストラジオールで発情を促し、交配成功につなげる。

<分娩>

1.分娩誘起(分娩の同期化)

妊娠113日目の朝にPGF2_を注射すると、大部分の豚が翌日中に分娩を開始する。分娩管理の省力化と子豚の損耗減少が可能。

2.陣痛微弱

  1. 陣痛微弱の場合(分娩が長引いたときなど)、オキシトシンまたはスパルテインで子宮の収縮を促す。
  2. オキシトシンの感受性を高める目的で、(1)の前にエストラジオールを注射することもある。

3.胎盤停滞:

分娩後3~4時間以降でも後産が出ない場合、スパルテインを注射。

<授乳>

1.泌乳不全:

子宮・乳腺の発育異常による泌乳不全にはエストラジオールを注射。

2.射乳促進:

乳房炎の治療のとき、オキシトシンで乳汁の排出を促す。消炎剤・抗生 物質と併用。

表2021_02.png

以上は一般的な使用例ですので、ご使用の際には獣医師等にご相談下さい。

(文責 検査センター 平内あかね)

総合研究所 検査グループ TEL 0287-37-4501 FAX 0287-37-4514

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