検査は採血から ~採血についてのお願い~
当検査センターには、全国の農場から血液や糞便など様々なサンプルが送られてきます。農場の疾病状況を知るための貴重なサンプルですが、採材や送付の方法に不備があると、検査結果に影響が出たり、さらには検査が不可能になったりする場合もあります。そこで今回は、検査する立場から見たよりよい採血方法について紹介したいと思います。
よい採血とは、溶血を避け、より多くの血清量を確保できる採血です。検査は血液から分離した血清を用いますので、溶血した検体で検査結果が大きく異なることや、血液量は多くても血清分離量が少ないと検査ができないこともありますので、ご注意下さい。
1.検体量について
検査に用いる血清は血液から分離しますが、分離できる血清量は血液量の約1/3程度ですので、これを考慮に入れて採血して下さい。血清分離量は動物種により違いがあるようで、牛や豚に比べて、鶏では同じ量の血液でも分離される血清は少なめです。
2.溶血防止のために
注射器で採血する場合は、採血後、注射針をはずし、試験管に静かに泡立たないようにゆっくり注いで下さい。凝固促進剤入りの採血管の場合は5~6回転倒混和し、血液の凝固を促して下さい。またガラス採血管でも転倒混和により血液中の凝固因子が活性化し、凝固しやすくなります。その後、室温(20℃前後)で30分ほど静置して下さい。特に冬場はご注意ください。
3.遮光について
ビタミンなど、光により分解される成分を測定する場合は、明るい所に採血した血液を長時間放置すると、検査結果に影響が出ます。アルミホイルで覆うなどして、できるだけ光にさらさないようにして下さい。
4.送付方法
振動や凍結も溶血の原因となりますので、なるべく振動を抑えられるように緩衝材等で保護し、保冷剤を入れる場合は直接サンプルに触れないようにして下さい。
以上が検査センターの立場からのお願いです。検査がより正確にできるように、ぜひご協力下さい。
(文責 検査センター 平内あかね 鶏尾めぐみ)
総合研究所 検査グループ TEL 0287-37-4501 FAX 0287-37-4514