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夏場の母豚へのストレスは冬場の繁殖障害につながる

毎年11~12月の種付け分娩率は、夏場の暑熱ストレスを受けた母豚が種付けされた影響で数%程度下がるのが通例ですが、昨年今年とその落ち幅が非常に大きくなっているように感じます。農場によっては通年の分娩率から10~20%以上低下しているケースもあり、これは日本全国で見られる傾向です。特に今年は11月以降の再発が非常に目立ち、不受胎または早期の胚の死滅によるものと思われます。分娩率が下がった時点ではもはや結果の段階であり、対策といってもなかなか難しいのが現状です。とはいえ、どの農場も夏場の暑さ対策をできる限り実行していてこの状態ですから、現時点で可能な対策を考えてみたいと思います。繁殖成績をできるだけ早く回復させるために必要な対策です。

●繁殖成績回復のための対策

1.分娩舎を暖めすぎていないか

冬場の分娩舎のトラブルは冷える事ではなく、むしろ暖めすぎによるものです。

分娩舎の温度は25℃を越えると、母豚の食下量は一気に減ってしまいます。 母豚にとって分娩舎は15℃程度が最適です。舎内の温度差はストレスにつながるので、ストールと分娩舎の温度差、分娩舎内の日較差、前日との最高温度の差等は、5℃以内に抑えることが目標です。

この時期、分娩舎の温度を思い切って下げるために、保温箱は必須のアイテムです。 隙間風の吹き込まない、しっかりとした蓋のついた保温箱を用意しましょう。母豚は涼しく、子豚は暖かくが大原則です。

母豚の飲水の流量は、冬でも毎分1.5~2.0l以上必要です。 ピッカーの調節をしたり、飼料給与後、飼槽に水を入れたりしてたっぷり水を飲ませます。

2.痩せすぎ母豚は寒さに弱い

夏場の食下量の低下で母豚群は痩せすぎていませんか?
痩せすぎの豚は寒さをもろに感じてしまいます。

冬場の母豚は体温維持で通常時期の10~20%増しのエネルギーが必要です。 舎内温度に合わせ、ストール舎の妊娠母豚の飼料給与量を1~2割増やしましょう。

最近の母豚は体型が大型化傾向にあり、それでなくても飼料摂取量は増えつつあります。

痩せ方の激しい豚には、混合飼料でカロリー、アミノ酸、ビタミン、ミネラル等を補ってやりましょう。さらに生菌剤による母豚の一般健康状態のアップも良い方法です。
(当社の「種豚ヘルス」や「腸健康!」が使用できます。)

3.種雄豚も大事です

夏場に発生した精子の異常が、そのまま冬場まで続いている事もあります。精液チェックは定期的に実施しましょう。

(文責 矢原芳博)

総合研究所 検査グループ TEL 0287-37-4501 FAX 0287-37-4514

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