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BVD持続感染牛を徹底的に摘発・処分しよう

牛ウイルス性下痢・粘膜病は、成牛では軽度の発熱と呼吸器や消化器症状を起こし、胎児感染した場合には流産や奇形、さらに持続感染牛を発生させるウイルス性疾病です。この持続感染牛とは胎齢40日頃から130日頃までの間で牛ウイルス性下痢ウイルス(以下BVDウイルス)の感染を受けた場合に産出された牛であり、BVDウイルスを自己と認識(免疫寛容)してしまうため、終生体内にウイルスを保持し、鼻汁・糞便・尿中に大量のウイルスを排泄し続けるという極めて厄介な感染源になります。因みにウイルスの排泄量は以下のように報告されています。

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この持続感染牛は生後1~2年以内に死亡してしまうこともありますが、慢性的な下痢を示す場合や複合感染や日和見感染を引き起こす場合、致死的な粘膜病に移行する場合や中には外見上の異常を認めない場合もあります。この持続感染牛が妊娠・出産した場合にはその子牛もまた持続感染牛になってしまうという危険な連鎖が断ち切れないこととなってしまいます。

現在北海道ではBVDを撲滅しようという運動が関係者を挙げて取り組まれていますが、全国的には残念ながら持続感染牛が各地から検出されるようになってきています。この秋の日本産業動物獣医学会(関東支部)でも群馬県や東京都からの新たな報告がなされています。またBVDによる被害は肉牛だけでなく酪農においても乳量の減少、受胎率の低下、さらに治療費の増加などが報告されています。

対策としては第一に持続感染牛の摘発淘汰が必要です。発育不良牛や慢性的な下痢、肺炎が続く牛などはウイルス抗原の検出や抗体検査による病性鑑定を実施する必要があります。さらに最も重要な対策として持続感染牛の子牛を分娩させないために、繁殖雌牛の種付け前にBVDワクチンを接種しておくことがあります。現在使用可能なワクチンとしては不活化ワクチンのストックガード(共立製薬)とBVD1型と2型のみ不活化のキャトルウィン6(京都微研)があります。種付け前であれば両方とも、妊娠中であればストックガードを使用します。成績改善のポイントとして是非ご検討ください。

(文責 大久保幸弘)

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