秋口からの呼吸器病対策について
台風が去って、朝晩の気温もようやく下がり始め、人間にとっては過ごしやすい季節になってきました。しかし豚にとっては、ほっとする間もなく呼吸器病の好発時期がやって来ます。今回は養豚場における秋口の呼吸器病対策(特に環境面での対策)についてまとめてみようと思います。
呼吸器病は秋口と春先に多い!
豚の呼吸器病は真冬よりも秋口と春先の方が発生率が高い傾向があります。つまり豚は、豚舎内の絶対温度よりも、温度の差(日格差、昨日と今日の温度差)に敏感に反応するのです。特に豚舎内の最高温度と最低温度が10度以上になると、呼吸器病の発生頻度は非常に大きくなります。
舎内温度の日格差を縮めるためには
離乳舎、分娩舎では、ガスブルーダーやコルツヒーターなどの加温設備がありますから、最低温度を高めることは可能です。しかし、肉豚舎には加温設備がないのが普通ですから、最低温度を上げることはできません。むしろ朝方の最低温度に合わせて、日中の最高温度が上がらないように換気をとることが重要です。昼間の換気は大胆に、短時間に舎内の空気をそっくり入れ替えるつもりで行ってください。さらに離乳舎、分娩舎でも、朝晩が寒いからといって、暖房を昼間までつけっぱなしにすると、昼間の温度が上がりすぎて子豚にストレスがかかってしまうことがよくあります。暖房のスイッチとカーテンの開け閉め、ファンのインバーターの調節は、この時期一番頻繁に行わなくてはなりません。また、日毎の寒暖の差も激しい季節ですから、毎日の天気予報も必ず参考にしてください。長期予報についてはまだまだですが、明日の朝の最低気温については、最近の天気予報は本当に正確になってきました。これを利用しない手はありません。
子豚に当たる風は微風でも厳禁
特にPRRSなどの慢性ウイルス病のある農場では、子豚に直接当たる風は呼吸器病の引き金になります。ひどい場合には、風が当たった瞬間に咳を始める豚がいます。子豚に直接の風を当ててはいけないということは昔から言われていることです。非常にかすかな風でも、絶えず吹いていてペンの中に逃げ場がない場合、子豚のストレスは意外に大きいものです。通路に立っているだけでは感じられない風でも、子豚が参ってしまっているケースがよくあります。ペンが広ければ、ペン内に風除けを設置するだけで豚が見違えることもあります。風除けとして保温箱を置けば、豚舎全体を暖める必要がないので、換気量も最小ですむはずです。
以上、秋口の呼吸器病対策としての豚舎内温度の調整について簡単にまとめてみました。次回は湿度について考えてみたいと思います。
(文責 矢原芳博)
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