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夏場の繁殖成績低下対策について

昨年の夏は厳しい暑さと台風の襲来で、全国的に母豚の状態が非常に悪く、夏以降の繁殖成績は、かつてない程に悪化してしまった農場が多かったようです。このためその頃生まれた豚が出荷される今年6月頃から、全国と畜頭数が減少し、豚価も上昇傾向にあります。豚価が高いのは生産者にとってはいい事ですが、出荷する豚がいなくては大きな機会損失です。夏場の繁殖成績の低下は、翌年の夏まで影響を与えますので、この時期をいかにうまく乗り切るかが、経営上の重要ポイントになってきます。

また夏場対策は、本当に暑くなってしまってからでは手遅れであり、暑くなる前の梅雨の後半から始めることで効果を発揮します。以下に、基本的な夏場の繁殖成績低下対策を列記しますので、判っていると思っていても再度チェックしてみてください。一つでも抜けているものがあれば、早いうちに改善しておきましょう。

<夏場の繁殖成績低下対策のポイント>

1.母豚を暑く感じさせない。

分娩舎の温度は25℃を越えると、母豚の食下量は一気に減ってしまいます。
分娩舎内に移動式送風機を設置します。(直径1mぐらいのもので積極的に)
ダクトファンを母豚の頭上に配置し、後頭部に吹きかけます。
母豚の後頭部に水滴を垂らし、気化熱で涼しく感じさせます。(ドリップクーリング)
寒冷紗で直射日光をさえぎります。
母豚の飲水時の流量は、毎分1.5~2.0l以上必要です。少ない場合はピッカーの調節をしたり、飼料給与後、飼槽に水を入れたりしてたっぷり水を飲ませます。
なお母豚に送風する場合、子豚が冷えて下痢をしないように保温箱が設置されている事が条件になります。

2.食下量が落ちてしまった母豚に対しては、

こまめに体温を測り、発熱している母豚には抗生物質等の注射をします。
哺乳豚が下痢をしている場合も母豚が原因のケースが多いので母豚に対しても抗生物質等の注射をします。
哺乳中の母豚の飼料給与量は多いほどいいのですが、あまりあせって急激に増やすと食滞を起こしてしまいます。
どうしても食えない豚には、混合飼料でカロリー、アミノ酸、ビタミン、ミネラル等を補ってやりましょう。(当社の新製品「母豚の友」が有効です。)

3.種雄豚も大事です。

特にデュロックは、夏バテしやすい品種です。豚舎の中でもできるだけ涼しいところで飼育しましょう。
種付け後は、ホースの水でよく睾丸を冷やしてやりましょう。

(文責 矢原芳博)

総合研究所 検査グループ TEL 0287-37-4501 FAX 0287-37-4514

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