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保温

西日本から関東にかけてさくらの便りも聞こえる中、養豚場での保温対策もひと段落を迎えていると思います。しかし、哺乳豚は離乳期にかけて、一年中保温が必要なことはいうまでもありませんが、気温の日較差が大きくなるこれからの季節の方がむしろ舎内温度の調節が難しくなる時期でもあります。

離乳豚を救うためのポイントは、子豚のいるところだけを充分に暖めてやることです。掘っ立て小屋ですきま風ビュービューの離乳舎でも保温箱をつけてやれば子豚のいるところだけは暖められます。オガ粉の離乳舎なら、保温箱が無くても子豚がオガ粉に埋まれば暖かく過ごせます。逆に事故が多い為に、豚舎内をこれでもかというぐらい加温して、換気不足で豚が参っている豚舎もみられます。舎内温度の調節は管理者の最重要作業であることは言うまでもありませんが、呼吸器病の発生している豚群の場合、発症豚は非常に高い温度を必要とし、一方健康豚はそれでは暑すぎて状態を崩すため、豚舎内を一つの温度で管理できないケースがままあります。このようなケースではどんなに優秀な管理者がいたとしても豚舎内の全ての豚が快適に過ごせる環境を作り出すことは不可能です。さらに同じ豚でも昨日と今日では体調次第で快適に感じる温度は変わるかもしれません。

簡易離乳舎が優れているのはペンの中にそれぞれの豚が自分で選べる快適スペースが確保されていると言うことです。一ペンの中に、必ず暖かい場所とそうでない場所があるのが大原則です。保温箱の中と外、オガ床の深い所と浅い所など、ペンの中にいかに環境のメリハリが作り出せるかがポイントです。人間のお仕着せの快適温度より豚が自分で選べる自由を優先させることが大事だと思います。下図に保温の難しい離乳舎で効率的に離乳豚を暖める保温箱の見取り図を示しました。ご参考になれば幸いです。

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(文責 矢原芳博)

総合研究所 検査グループ TEL 0287-37-4501 FAX 0287-37-4514

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