豚に快適温度を聞く!
日清丸紅飼料(株) 総合研究所 検査グループ 矢原芳博
お彼岸も近くなり日によっては日中の気温が
非常に高くなる日も増えてくる時期ですが、
舎内温度の調整には苦労されていませんか。
舎内温度の日格差がどんどん大きくなるこの時期は、
一年のうち最も舎内温度管理の難しいシーズンですが、
単に目標室温だけを念頭において、
日中の室温が上がりすぎていないでしょうか。
特に北国では快晴の日の夜半に
最低気温が放射冷却現象で真冬並みに下がることもあり、
結果的に舎内温度の日格差が
大きくなってしまうという管理上の誤りが起きやすくなります。
先月もこのコーナーで書きましたが、
豚を見ず、室温のみで管理しようとすると様々な問題が起きがちです。
夜間の最低温度をベースに、日格差が最低になるよう、昼間の室温を、
場合によっては敢えて下げる必要も出てきます。
これに湿度と換気量(風速)も加味しなければなりません。
更に言えば、上記の話は健康な豚の話ですが、
これが更に呼吸器病や下痢を起こしている豚群になると、
更に話は複雑になってきます。まさに、豚の様子を観察しながら、
豚に聞きながらの管理が必要な時期であるわけです。
考えてみれば、これは毎年の事ですが
真夏の環境管理、真冬の環境管理については、
ある程度パターン化された管理方法が確立できるのでしょうが、
春先、秋口だけは、その時の気候に応じて、
対応せざるを得ないところがあります。マニュアル化の最も難しい部分です。
前回も書いたとおり、まさに目の前の豚を見て、
何を欲しているかを感じながらの管理が求められます。
養豚場にお邪魔すると、豚舎内で、その農場の若い従業員さんと
お話する機会も多いのですが、概して勉強熱心な方が多く、
離乳舎の適正管理温度は何度か?とか、
湿度は何度か?とか、飼育密度は1頭当たり何平米か?
とかいった質問を矢継ぎ早にされる事もあります。
数値は数値で、お示しすることはできますが、
一緒に農場に入ったら、同時にその場の豚を見ながら、
寒がっている?暑がっている?、換気は足りている?、
湿度は?、風は当たっていない?などなど、
今、目の前の豚が何を感じているかを、目合わせすることが大事と思っています。
現場でお会いすることがありましたら、
ぜひ、目の前の豚がどう感じているか、議論し合いましょう。
「ピッグジャーナル」(アニマル・メディア社発行)2017年3月号掲載