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PEDの穴を塞ぎ続ける!

日清丸紅飼料(株) 総合研究所 検査グループ 矢原芳博


寒い日が続いていますが、豚舎の冬場対策に抜けは無いでしょうか。豚流行性下痢(PED)の発生が、大流行が始まった2013年から数えて5シーズン目の冬になってもまだ継続しています。まだまだ油断できない状況です。
PEDが発生した農場では、なぜ、どこから農場にPEDウイルスが侵入したかのか、その感染源を明らかにすることが、再侵入防止のためにも重要ですが、これがなかなか難問で、結局はっきりしない事も多々あるようです。そうであっても、外部からのウイルス侵入に対する防御レベルを上げるためには、想定されるバイオセキュリティの「穴」を、無理矢理にでもリストアップして、そこにパッチを当てなければなりません。

さらにPEDのもう一つの怖さは、一度侵入を許したウイルスを農場から排除することが予想以上に難しい事です。ウイルスが、感染した豚から排出される時間、環境中で生存している時間が、予想外に長いことが関係していると考えられます。農場の外からのウイルスの侵入を防御するのが「外部バイオセキュリティ」とすれば、農場内のウイルスの行き来を防ぐのは「内部バイオセキュリティ」となります。農場内でPEDの発生が長期間に渡ってしまい、なかなか終息させられない場合には、この「内部バイオセキュリティ」の「穴」を探し出して、片っ端から塞いでいかなければなりません。

「穴」は当然、大きいものから見つかりますので、それをどんどん塞いでいきます。豚舎の出入りの際に長靴を取り替える、ツナギを換える、担当する豚舎を限定する、等々、すぐ出来ることはどんどん進めていきますが、それでも発症が止まらない、ぶり返す、さらに小さい「穴」を探して塞ぐ...という繰り返しが始まります。この繰り返しは、精神的にもかなり消耗する作業であり、「もうこれで大丈夫」と思ったら、翌月に突然分娩舎で発症したら、もうその努力を諦めてしまいたい気持ちに襲われます。おまけに、冬場は環境温度が下がり、環境中でのウイルスの生存時間がさらに延びますので、バイオセキュリティの「穴」は、より些細なものでもPEDウイルスがすり抜けてしまいます。

しかし、ここで諦めてはすべて水の泡になってしまいます。これまで塞いできた「穴」は、大きい方から確実にブロックできているのですから、めげずに、さらに、より小さい「穴」を塞ぎ続けることが何より大事です。我々のように農場に寄り添う立場の人間の役割は、毎日農場で管理をされている方々が、落ち込んで自暴自棄になってしまわないように励まし続けることだと思います。
真冬の農場巡回をさせていただきながら、改めてこのような事を感じています。

「ピッグジャーナル」(アニマル・メディア社発行)2018年2月号掲載

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