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PEDの抜本対策可能な高豚価

日清丸紅飼料(株) 総合研究所 検査グループ 矢原芳博


6月に入り、暑い日も挟みながらではありますが豚の飼育環境管理にとっては、
最もやりやすい時期になってきたのではないでしょうか。

特に肥育豚は飼料摂取量が上がってきて、肥育スピードに拍車がかかる時期でもあります。
しかし最近の豚価はそれに関与せず、高値が継続しています。
業界紙には、PEDの回復が遅れていることが一因であるとの見方がかかれておりますが、
確かにと畜頭数の回復は遅れているようです。

高繁殖性母豚の普及が進む中、産子数の上昇は目を見張るものがありますが、
農場によっては、最終的にこの事が出荷頭数にまで結びついていないケースも散見されます。
今年もPigInfoなどの養豚成績のベンチマーキングのデータについて報道がありましたが、
上位農場の成績とそれ以外の農場の成績が2局化し、その差が大きく乖離しつつあるとのことです。
それらの乖離の主要な原因として、PEDをはじめとした疾病の問題が絡んでいるようです。

疾病問題で生産成績が伸び悩んでいる農場の多くは、PEDなどの頑固な疾病に対して、
一時的に生産に穴の開くような非常に思い切った対策が求められる状況なのですが、
成績低迷が長く続いてしまい、なかなかそこに踏み切れないケースが多いようです。

生産現場に携わる立場の人間の一人として、こういった時にこそ、勇気を持って、怯まずに、
生産者に対して、必要な対策を提案していかなければならないのですが、
必ずしも力強く農場の背中を押すことができていないかもしれません。

今、この豚価が続いているうちがチャンスです。しっかりと計画を組んだ上で、
豚舎の一時空舎化(パーシャルデポ)とか、計画的人工感染とか、人工流産とか、
思い切った対策を、科学的な根拠を持って、進めていかなければならないと感じています。

「ピッグジャーナル」(アニマル・メディア社発行)2017年6月号掲載

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