豚で儲けるそれぞれの道
日清丸紅飼料(株)総合研究所 検査グループ 矢原芳博
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。
今年は、非常に暖かいお正月を迎え、穏やかな一年の滑り出しだったような気がします。ただし、呼吸器病に関しては、気温そのものもさることながら、気温差がその引き金につながるため、この暖かい冬であっても、肺炎の発症の話は、あちらこちらで聞こえてきます。ご注意ください。
さて今年は養豚業界にとってどのような一年になるのでしょうか。豚価もそうですが、下手な予想をしても、いつも外れてばかりなので、改めての予測はやめておきます。ただしお客様をご訪問させていただく中で、感じる流れというものはあるのでいくつか挙げてみたいと思います。
まずは母豚の産子数についてです。昨年後半は高繁殖性母豚に関するセミナーや勉強会がたくさん開かれ、欧米から産子数の多い系統の母豚が非常に注目されました。これらの母豚の産子数には目を見張るものがあり、すでに国内でも総産子数で一腹20頭を超える腹も見られます。一昔前には年間一母豚あたり20頭離乳が目標値だったことを考えれば、10年足らずで1.5倍に達する勢いであり、もはやその遺伝改良速度はブロイラー並みに近づきつつあるようです。しかし反面、哺乳中育成率の上昇のために、総産子数の上昇ほどに離乳頭数が増えてこない農場もあります。
まずは母豚の産子数についてです。昨年後半は高繁殖性母豚に関するセミナーや勉強会がたくさん開かれ、欧米から産子数の多い系統の母豚が非常に注目されました。これらの母豚の産子数には目を見張るものがあり、すでに国内でも総産子数で一腹20頭を超える腹も見られます。一昔前には年間一母豚あたり20頭離乳が目標値だったことを考えれば、10年足らずで1.5倍に達する勢いであり、もはやその遺伝改良速度はブロイラー並みに近づきつつあるようです。しかし反面、哺乳中育成率の上昇のために、総産子数の上昇ほどに離乳頭数が増えてこない農場もあります。まずは、①生時体重をいかに大きくするか、②白子をいかに減らすか、③哺乳豚をいかに離乳まで持っていくか、この3点は今年の養豚場のメインテーマになっていくのではないでしょうか。
次に、養豚場の利益アップのための要因は、果たして産子数あるいは離乳頭数だけなのか?という疑問です。私のような疾病検査ラボの獣医師の立場としてみれば、たくさん生まれて、死亡を少なくすれば、一年間にたくさんの肉豚が出荷できるのだから儲かるはずだ、という前提で、農場内の疾病対策や母豚管理レベルの向上を目指して来ました。そのこと自体は間違っているとは思いません。しかし養豚場が利益を上げる要因というのは、ほかにもいくつもあるのではないかと考え始めています。ある農場は、たとえばエコフィードを有効活用し飼料代を大きく節約し、ある農場は生産した豚肉の味に付加価値をつけて高く販売したり、歳をとって体力が落ちたから、一貫経営をやめて肥育預託農場に転身して時間的余裕を手にしたり、その「利益」の得方はさまざまです。
ここ数年PigInfoを代表とした、ベンチマーキングが活発に実施されています。20数項目の指標をひとつずつ見れば、それぞれトップから最下位まで一列に並びますが、これらを複合的に捕らえた時に、自分の農場は何を武器にして、あるいは何を伸ばすことで「利益(お金だけとは限りません)」を得るのか、そのオプションはたくさん考えられると思います。それぞれの農場が独自の切り口で、独自の「利益」を得る方法を考えて、「だから養豚は面白い!」と言える一年にしてもらえれば、と思います。
「ピッグジャーナル」(アニマル・メディア社発行)2016年01月号掲載