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高繁殖性種豚をどう活かす?

日清丸紅飼料(株)総合研究所 検査グループ 矢原芳博

TPPの合意内容に戦々恐々しながらも、ここ最近は400円台中盤(芝浦上物加重平均)の豚価が継続しており、このレベルの豚価で利益が上げられるコスト構造が当面求められそうです。

低コスト生産へのアプローチ方法として、ここ最近は高繁殖性種豚の導入がブームとなっているようです。種豚販売をしているメーカーの一員としては、主に欧州からの高繁殖性種豚の攻勢は脅威ではありますが、この様な高性能の種豚を導入すれば、すぐに農場の収益性が上がり、コストが下がるというものでもないようです。これらの種豚の産子数は、確かに確実に多い事は間違いないようですが、増えた総産子数をいかに哺乳開始頭数へ、離乳頭数へ、さらに出荷頭数へ、最終的には枝肉重量の増加に繋げて行けるかが鍵のようです。さらにこのような好成績を上げる母豚の消耗は、やはり激しいようで、更新率を上げざるを得ない側面もあるようです。これらのすべての要素を総合した上で確実にコストダウンにつながるかどうかを判断する必要があります。

決して高繁殖性種豚についてダメ出しをしている訳ではなく、最終的に収益あるいはコストダウンにどのようにつながっているかを確認しながら、種豚の評価を決めなければならないという事です。 また、北米、欧州、南米、アジア、それぞれの地域や国で、種豚に求める能力や特徴は様々な特徴があると思います。各国が求める種豚の特徴を、一つの種豚がすべてカバーするという事は難しいという事は、だれもが納得されるものと思います。繁殖能力の高い原種豚群を揃えた上で、各国(あるいは各農場)ごとに求める形質が得られるように、その豚群内で独自の遺伝改良を加えながら、特徴のある種豚を作り上げる努力を行っているものと思われます。 遺伝改良のスピードは年々上がっているようですが、これを評価し、さらには飼いこなす技術も同様にレベルアップが求められています。これを支援する我々も、ますます猛勉強していかなければなりません。優秀な種豚が、宝の持ち腐れにならない様に、日々勉強を強いられる今日この頃です。

「ピッグジャーナル」(アニマル・メディア社発行)2015年11月号掲載

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