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PED再発、あきらめず基本の継続を!

日清丸紅飼料(株)総合研究所 検査グループ 矢原芳博

日に日に朝晩の冷え込みが進んできて、養豚場からの疾病の問い合わせが増えつつありますが、皆様の農場ではいかがでしょうか。豚価も急速に下がってきておりますので、疾病による損失は最小限に抑えていきたいところです。

先日、養豚臨床獣医師の会合があり、最近の症例について勉強する機会がありました。その中でPEDの再発あるいはぶり返しの症例についていくつかの報告がありました。これから気温が下がっていく中で、PEDが再度流行するのではないかと心配されるところですが、長引きながらも一応の終息を見た農場の例を総合すると、いくつかの共通点があるようです。感染の再発が無くなった農場では、初発の感染爆発時から、その後一旦落ち着いた後の2回目の再発時、さらに3回目、4回目と進むに従って、その間も、環境中のウイルスを減らすための消毒、母豚へのワクチン接種、発症哺乳豚の早期淘汰などの対策をあきらめずに継続していくと、再発の度に徐々に死亡豚の数が減っていき、再発の間隔も広がって行って、最後には発症が見られなくなっていく、というのが一つのパターンであるようです。複数回の再発を経て、一貫した清浄化の対策によって徐々に場内のウイルス量が減っていくのではないかと考えられます。しかし途中の再発時点で、諦めてしまい、対策を止めてしまえば再びウイルス量は増加して被害は再び増えていくようです。ですからPED対策の最重要ポイントは、対策をひたすら実直に継続していく事に尽きるのかもしれません。先の見えない衛生対策の継続は本当に大変ですが、しかし、再発しなくなった農場の多くは、これを一生懸命継続して最終的に沈静化そして清浄化にたどり着いています。PEDと闘うためには、やはり相当に強い精神力が必要なようです。我々獣医師は、農場の皆様が挫けそうになった時に、励ましながら対策を継続させるように後押しする事が主要な業務という事でしょう。特にこれからの季節は、気温が逆風になる事は必至ですから、我々も気合を入れて対策継続に全力を上げなければなりません。

「ピッグジャーナル」(アニマル・メディア社発行)2015年10号掲載

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