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新興病学会で得た知見を農場に!

日清丸紅飼料(株)総合研究所 検査グループ 矢原芳博

先月このコーナーでもお知らせしました第7回国際新興・再興豚病学会(ISERPD2015)が6月21~24日の4日間、京都国際会館にて、世界各国から約1,000名のご参加を得て、盛大に開催されました。PRRSやPCV2など、日本でも生産成績に多大な影響を及ぼしている疾病をはじめとして、アフリカ豚コレラなど、日本には絶対に入って欲しくない疾病まで、養豚界の重要疾病と闘う世界の研究者が一堂に集い、今わかっている事、わかっていない事、最先端の情報を共有する非常に有意義な場でした。研究者の方々だけでなく、養豚生産に関わる様々な方々のご参加を頂き、実行委員の一人として、本当に御礼を申しあげます。今回の学会の真価は、これらの世界の知見を、我々のホームグラウンドである養豚生産現場に、どうやって役立てられるかに掛かっていると思います。本誌でもその知見を読者の皆様にお知らせする企画を検討しているという事なので、ご期待ください。

私事ですが、京都の学会をはじめとして、今年前半に開催された多くの研究会、学会に参加させている間に、ちょっとだけ生産現場の巡回をご無沙汰してしまっていたかもしれません。気が付けば、肉豚出荷頭数が少なく、豚価も高値安定?しています。この一つの要因として、やはりPEDの影響がちらつきます。PEDによる哺乳豚の死亡については既に一山越えている訳で、現時点での肉豚在庫の減少は、分娩舎でPED発症を迎えた母豚の、その次の、あるいは次の次の発情、種付けサイクルでの受胎、あるいは産子数の減少が影響しているのではないでしょうか。やはりPEDは恐ろしく厄介な疾病であると再認識しています。そして同時に、繁殖成績の乱れが及ぼす経済的な影響の大きさについて、もっともっと配慮をするべきであったと後悔しています。

またさらに今回の京都の学会では、米国で、アジアで発生しているPEDについても数多くの発表を聞くことが出来ましたが、日本で起きている事と同じことが起きているという事も良く分かりました。頭の中に溜め込んだ知見を、今後の農場巡回で疾病対策に、精いっぱい役立てていきたいと思います。

「ピッグジャーナル」(アニマル・メディア社発行)2015年07月号掲載

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