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浮腫病とレンサ球菌症

日清丸紅飼料(株)総合研究所 検査グループ 矢原芳博

今もまだ、豚流行性下痢(PED)の新たな発生のニュースは継続しており、本病の感染拡大の少しでも早い終息のため、できる事を進めているところです。PED対応に追われる中で、しかしそれ以外の疾病の対策についてもしっかりと対応していく必要があります。振り返ってみれば、私自身もこのコーナーで12月以降ずっとPEDを取り上げておりました。この間も、他の疾病は変わらず養豚場内で発生しているわけで、日常の疾病対策についても、再度見直しながら整理する必要があると思われます。

特に昨年以降、離乳舎での浮腫病とレンサ球菌症の発生が増加している、という臨床の獣医師の先生方からの報告が良く聞かれます。豚サーコウイルス2型(PCV2)のワクチン発売開始後、改善が進んでいた離乳舎の事故率が、昨年あたりから少し下げ止まっているという話もあるようです。浮腫病対策については、過去様々な特集が組まれ、いくつかの対策パターンがすでにできあがっており、この組み合わせで対応できるケースがほとんどですが、それにもかかわらず発生のご相談は少なくありません。生産コスト削減の努力を進める中で、良かれと思う対策を、全て継続するわけには行きませんので、少しずつ削っていくわけですが、浮腫病の場合は、いずれかの対策を切ったところで症状がぶり返すことがままあります。対策の中止については、定期的なモニタリングの結果など、客観的なデータを基に進めて行かないと、症状のぶり返しが起きることは過去に多くの症例が物語っています。

また、レンサ球菌についても、離乳舎での事故の主因として、まだまだ油断できない頻度で発生しています。離乳舎での神経症状が発生した場合、その原因が浮腫病なのかレンサ球菌なのか、それを症状だけで見極めることは、なかなか難しいと思います。原因を見極め、対策を特定するためには、科学的な検査の実施が欠かせません。これらの疾病に対する対応が、PEDに影響されておろそかになることの無い様に、冷静に判断する事が求められます。我々は、そのためのご協力をするべく待機しております。

「ピッグジャーナル」(アニマル・メディア社発行)2014年04月号掲載

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