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PED対策で重要なこと

日清丸紅飼料(株)総合研究所 検査グループ 矢原芳博

豚流行性下痢(PED)が南九州で発生が拡大し続けており、心配な状況が続いております。今月初めに南九州の養豚臨床獣医師の先生方とPEDの発生状況について情報交換を行う機会を得ました。現場の先生方から生々しい状況を聞けば聞くほど、急性のウイルス病の感染拡大の勢いの強力さを思い知らされます。

発生農場での発症の様子は、哺乳豚の水様下痢と死亡は共通しているものの、農場ごとにかなり多様な様相を見せており、肥育豚の下痢、母豚の下痢、母豚の無乳症、流産などについては、ばらばらな状況です。また現場でのPEDワクチン接種の状況も様々であり、母豚の分娩予定に合わせて接種する方法、一斉接種する方法、また接種開始から発症までのタイミングの違いなども加わっており、混沌とした状況になっているようです。

今回のミーティングの中で、ひとつ、確実に言えると思われる事が浮かび上がりました。それは、農場内、あるいはその地域内に存在するウイルスの量と症状の重さは比例するという原則です。「何をいまさら」とおっしゃるかもしれませんが、この事実は意外と重要です。

たとえばワクチンの効果の話です。現場では、PEDのワクチンが効くか、効かないかが話題になっています。私もお客さんから良く聞かれます。また、今回流行しているウイルスは、ワクチン株と遺伝的に違っているから効かないのでは?という疑問を投げかけられる事もあります。この話をする前に、「PEDワクチンは、感染防御ワクチンでも、発症防御ワクチンでもなく、症状緩和ワクチンである。」という大前提があります。ワクチンメーカーさんすみません。この際話をシンプルにしたいので、あえて細かい所は省きます。「症状緩和ワクチン」であるので、豚の体内に入るウイルス量が非常に多ければ、それなりに症状は出てしまいます。しかしその症状はワクチン未接種の状態より軽い症状であるはずです。ですからワクチン接種していれば安心というわけではなく、ワクチン接種をして、さらに場内のウイルス量を減らす対策を進めることが大事です。

もうひとつ複数の先生方から聞いた話では、「従来から一般衛生管理レベルの高い農場は総じて症状が軽い。」という事実です。消毒の頻度、徹底の仕方、豚群ごとの隔離レベル、母豚の健康状態の確保などが、最終的に場内のウイルス量の低減につながり、結果として浸潤したとしても症状が軽く抑えられているということなのではないでしょうか。

PEDウイルス対策は、まずは農場に入れない事が大事でしょうが、では浸潤を受けたら後は治まるまでお手上げということでは、決してありません。農場内のウイルス量を減らす努力は、必ず症状の軽減に繋がるはずです。あきらめずに消毒と豚へのケアを徹底的に進めましょう。

「ピッグジャーナル」(アニマル・メディア社発行)2014年02月号掲載

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