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PRRSの動きが気になる!

日清丸紅飼料(株)総合研究所 検査グループ 矢原芳博

今年の桜もあっという間に終わり、すでに一年の3分の1が終ろうとしています。時の過ぎるスピードがどんどん速くなっており、焦りが募るばかりです。それはさておき、今年に入ってからPRRSの新たな浸潤を受けたケースを複数の農場で、複数の地域で耳にしております。PRRSウイルスの動きが活発化しているのではないと危惧しています。それぞれの農場での状況については、断片的な情報も多いため、あくまで私見の段階での話ですが、そういった時点での話題であっても、誤解や過剰な反応ではなく、冷静に情報のひとつとして捉えて頂けると思い、このコーナーで取り上げる事にしました。それぞれの農場でバイオセキュリティ上の問題があったのかどうかについても不明であり、今後さらに情報を収集して行きたいと考えています。また新たな浸潤でなくとも、ここ数ヶ月で農場内でPRRSと考えられる症状が増加した、あるいは悪化したというケースも加えると、何か状況に変化があるのではないかという気がしています。このような農場でPRRSのELISA抗体の推移を見ると、落ち着いていたはずの1~2ヵ月齢での陽性率あるいはS/P比が上昇し、その時期に事故率やヒネ豚の発生が増加するというケースが散見されます。もちろん全国の農場を横並びに見ていけば、改善している農場もあれば、悪化している農場もあるはずですから、どこかの農場のPRRSの状況が悪化しているからといって、すぐに全体の動きに繋げて考えるのは短絡的ではあるのですが、どこかの地域に特定された話ではなく、離れた場所で同じような時期に上記のような情報を得たので、気になっているわけです。

日頃私は、疾病の情報については、憶測や不確かな情報に振り回される事なく、検査データや剖検所見などを総合的に判断して結論を得るべきであると思って仕事をしているつもりですが、今回は逆のパターンで、感じた事から現場で起きている事を調査しようと考えています。もしこのような感覚をお持ちの方が他に居られたら、何か起きている可能性が高まるわけですので、敢えてここに話題提供をさせてもらいました。具体性に欠ける段階での話で恐縮ですが、何らかの注意報になればありがたいと思います。更に何か進展がありましたらご報告させていただきたいと思います。

「ピッグジャーナル」(アニマル・メディア社発行)2013年04月号掲載

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