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フランスの養豚事情について


我が国においても欧州産の多産系母豚の導入が拡大傾向にあり、
我々飼料メーカーも欧州の進んだ飼養管理技術を積極的に取り入れるべく、
該地の事情の調査や検討を行っています。

その活動の一環として、昨年、当社の養豚に関わる技術陣が
数度にわたり渡欧し、現地の事情を実感すべく様々見聞してまいりましたので、
その一端をご紹介したいと思います。

今回は、EU内でスペイン、ドイツに続く3位の
飼養規模を擁するフランスの事情をご紹介いたします。
EU内における豚肉生産量は枝肉(皮付き、足つき、歩留り76%程度)
ベースで2,230万トン(2014年)となり、
その内、スペイン、ドイツ、フランスの上位3か国で
ほぼ半分の生産量を占めています。
フランスは第3位で生産量は194万トン(同)となっています。

フランスにおける飼養頭数は母豚約100万頭、
飼養頭数は約1300万頭であり、
養豚農家の70%は国の北西部に集中しています。
また、母豚1,000頭以上の大規模農場は全体の5%程度で、
200頭以下の小規模農家が半数程度を占めます。
ここで、2015年におけるフランスの平均的な飼養成績の数値をお示しします。

2015年フランスの平均的な飼養成績.png

フランスにおいても他のEU諸国同様、
1母豚当たりの年間離乳頭数が29~30頭と、
高水準な繁殖成績が得られています。

我が国においては30頭離乳という数値は
まだまだ一般的な値とは言えず、
気候条件等の環境に違いを考慮に入れても、
欧州の養豚技術には学ぶべき点が多くあると言えるでしょう。

繁殖成績もさることながら、30kg以降の肥育成績も
我が国の水準と比較してかなり良好と言えます。
日増体、要求率ともかなり高水準な印象を持たれるのではないでしょうか。
また、出荷体重119kgに対し枝肉重量90kg、
歩留り約76%とかなり高い値です。

湯はぎ、足付きであることを考慮しても高めの印象です。
(日本では湯はぎでも歩留り70%程度でしょうか)

このような良好な成績を得るためには、飼育環境の整備はもちろん、
飼料の栄養設計や給与方法の最適化を
進めることが非常に重要であると考えています。
欧州の進んだ育種技術で作出された高性能種豚の能力を、
日本の環境下において最大限発揮させる飼養技術を確立、普及
することが、飼料メーカーに課せられた大きな役割だと認識しています。

そのため、飼料設計の考え方、効率的な発育曲線を得るための
給与方法の考え方等、欧州の進んだ飼養管理技術の知見を
日本の環境にあてはめて最適化し、いち早く製品に落し込むべく
継続した取り組みを進めてまいります。

今後も引き続き、本欄を通じて海外技術情報を
発信してまいりますので、ご参考にしていただければ幸いです。

文責 総合研究所 開発グループ 喜瀬 昌明

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