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不確実性への挑戦

日清丸紅飼料(株) 総合研究所 検査グループ 矢原芳博


皆様あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
私は自宅で静かなお正月を迎えることができました。
さて皆様はどのようなお正月を迎えられたでしょうか。
昨年は後半になるにつれて、世界中で予想外の出来事が続いて、
あれだけ多くの議論を巻き起こしたTPPもご破算になりそうな気配です。
PEDについてもまだまだ油断できない状況が継続しています。

ガルブレイスさんが「不確実性の時代」と言ったのは、1977年のことだそうですが、
今年のお正月に自分の身の周りを見渡せば、養豚界においても、
まさに「不確実性の時代」であると感じます。しかしこれは、
ただ先が見えないから不安であるという事ではありません。
この先すでに、やるべき方向性が見えていて、
そちらの方向にまっすぐに進めば幸福な未来が見える、
という状況ではないと感じますが、しかし試行錯誤の上、
何らかの方向性が見えてくるのではないか、
という期待感があるとも感じられます。

高い繁殖性を示す種豚をどう使いこなすか?
おいしい豚肉と高い繁殖性をどのように両立させるのか?
長引くPEDにどう立ち向かうのか?
高騰する設備コストをどう克服して、豚舎をアップデートしていくか?
豚価はどうなっていくのか?厳しさを増す環境問題をどうクリアしていくのか?
常在性疾病の清浄化にどうやって取り組むのか?、、、
いずれも私自身が直面している課題を挙げればきりがありません。
これらの課題に一つ一つ取り組みながら、少しずつ自分の視野を開けていく、
そのような年にしたいと思います。

そして、これらの課題に取り組むには、
限られた自分の能力と時間だけに頼っていては限界があることも痛感しています。
今年のもう一つの課題は、いかに周辺の人々の力をお借りして答えに近づくか、ということです。
この仕事を始めて以来、養豚に関わる多くの方々に接して多くの事を学んで来ましたが、
どなたも、お持ちの情報を出し惜しみされる方はいらっしゃいませんでした。
多くの同士の方々のお知恵をお借りしながら、
先に進むためのきっかけに近づければと思います。
改めまして、今年もよろしくお願いいたします。


「ピッグジャーナル」(アニマル・メディア社発行)2017年1月号掲載

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