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冬場の離乳舎の飼育環境と子豚の疾病


 今回は冬場の離乳舎で発生しやすい疾病と飼育環境の関係についてお話します。養豚場において、離乳舎の飼育環境の整備は最も気を使わなければならないポイントですが、その中でも舎内温度と換気の関係は非常に重要です。

 冬場は外気温が低下するので、舎内温度を高く保つために積極的な暖房をしなければなりません。暖房にはコストがかかりますから、暖房の効率を上げるために換気量を落とすことになります。離乳直後の子豚は28℃以上の温度を必要としますので、換気よりも保温優先になるのは間違いありません。しかし、換気をまったく無視していいかといえば、そんなことはありません。特に断熱の悪い豚舎で換気を止めて保温だけを重視すると、豚舎内の壁等に結露が発生します。この結露が舎内の湿度を上げ、スス病が発生する場合があります。保温を止めると肺炎が発生し、換気を止めるとスス病が出る、という離乳舎は、決して少なくありません。

 いったいどっちを選べばいいんだ!という悩みをお聞きする事も良くあります。このようなケースで行うべきことは2つです。まずは、離乳舎の隅から隅まで調べて、すきま風が吹き込む部分を徹底的に塞ぐことです。外気が直接豚舎内に入ってくると、暖房効率も悪いし、結露の直接の原因となります。次に豚舎内の空気をかき混ぜることです。現行の換気用ファンを回したとしても、豚舎内の空気がすべて綺麗に抜けるとは限りません。意外と部屋の隅に換気ムラが生じている可能性があります。換気ムラのあるところに湿気が集まります。換気ムラ対策として有効なのがミキシングファンです、空気を豚舎の外に排出するファン、あるいは押し込むファンではなく、単に豚舎内の空気をかき混ぜる目的のファンです。人間の居住空間でも最近は冬場に室内で暖房しながらミックスファンを回すケースが増えています。ミックスファンは暖房効率を上げるだけでなく、室内の空気を混ぜることで、豚舎内の湿度と温度を均一にすることで、スス病と呼吸器病を両方防ぐ効果があります。

 また今年の秋から冬にかけて、離乳舎内でのレンサ球菌症、浮腫病についても発生しているという声を聞きます。これらの疾病にも、ミックスファンによる豚舎内の空気の均一化は、効果があると考えられます。まだお試しでない方は、一度チャレンジしてみてはどうでしょうか。

(文責 総合研究所 検査グループ 矢原芳博)

総合研究所 検査グループ TEL 0287-37-4501 FAX 0287-37-4514

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