北海道十勝平野の豊かな自然と手を掛けた飼育方法が自慢の「田舎どり」
食鳥生産者
事業管理室の戸水室長(左)と飼育部の林課長
道の駅なかさつないに評判のからあげ店があります。ちょっと変わった骨付きの、大ぶりのからあげはジューシーで熱々で、観光シーズンには行列ができ、オフシーズンにも地元のリピーターの方が多く買いにいらっしゃいます。このからあげ店、実は鶏の生産者である株式会社中札内若どりの直売所です。株式会社中札内若どり事業管理室の戸水室長においしい鶏を育てるこだわりを伺いました。
消費者に喜んでいただくため敢えて手をかける
中札内若どりは十勝地域を中心にブロイラー(食鳥)農場を展開する生産者です。農場の特長はなんといってもおいしい水と空気、それから独自に工夫を凝らした配合飼料です。日清丸紅飼料の配合飼料に、鉱物の一種で整腸作用のあるゼオライトや、消臭効果のある木酢液をプラスすることで、臭みが少なくコクのある鶏肉に仕上がります。
ブロイラーの飼育方法は、一つの鶏舎に受け入れた雛を約48日齢になるまで飼育し、全て出荷して鶏舎を空にするオールインオールアウト方式が一般的ですが、中札内若どりでは取引先の多様なリクエストに応えるため、日齢に応じて小びな(27~31日齢)、中びな(35~40日齢)、大びな(46~49日齢)の3段階に分けて出荷しています。
選別の手間はかかりますが、サイズの小さい鶏だからこそ調理できる柔らかい身質の骨付きから揚げは、地元飲食チェーン店の看板商品として長年愛されています。
一貫した生産体制だからできる、新鮮でおいしい鶏肉の提供
中札内若どりは1976年に16鶏舎と加工場からスタートしました。地域の飲食店や小売店からおいしさが支持されて、今では直営農場と契約農家を合わせて12万羽、38鶏舎にまで拡大しています。「田舎どり」の自社ブランド名を表に出さずに流通している量も多く、地域の食に欠かせない存在です。
飼育部の林課長に鶏舎を案内していただきながらお話を伺うと、鶏の飼育で最も気を遣うのは雛を鶏舎に受け入れてから最初の一週間だそうです。孵化したばかりの雛は自力で歩く力が弱く、いつでも餌や水にありつけるように飼料ホッパーや給水器の配置に細心の注意を払います。また体温調整が難しい雛が暖を取れるようヒーターの当たる範囲の調整が必要で、日に何度も見回りします。この1週間十分に手を掛けることでこれ以降順調に発育できるのです。
同社は孵化場、生産農場、食品加工場を有し、一貫した生産体制が強みです。成鳥出荷、加工、製品化まで自社で完結できるため新鮮な製品を提供でき、取引先から高い評価を得ています。
リピーター続出の直売所
中札内若どりが自慢の鶏肉を直接消費者に販売しているのが冒頭にご紹介した直売所です。道の駅なかさつないの一角にあり、小びなの半身揚げや骨付きから揚げ、骨付き手羽元など、鶏のおいしい食べ方を知っている生産者だからこそ提供できる特徴的なメニューが売りです。近くにいらした際には評判の直売所に是非、お立ち寄りください。